【石川県&香川県★連携Vol.9】お庭の国宝!「兼六園」の六勝、「栗林公園」の一分百景を探訪
石川県&香川県のコラボ特集の第9弾は「庭園」がテーマ! 今回は石川県は日本三名園の一つ「兼六園(けんろくえん)」、香川県は文化財庭園で日本一の大きさを誇る「栗林公園(りつりんこうえん)」を訪ねます。どちらも「お庭の国宝」といわれる国の特別名勝に指定されている大名庭園で、四季折々の美しい景観が国内外の人々を魅了。桜の名所でもある両園のお花見、ライトアップや無料開園の情報などもご紹介します。
【石川県&香川県★連携】特集は、観光パートナーシップ協定を締結している石川県と香川県が、さまざまな観光コンテンツをテーマに全10回にわたり両県の魅力を発信しています。
【石川】六勝を備えた天下の名園「兼六園」
兼六園の名称は、優れた景観の代名詞「六勝(ろくしょう)」に由来します。六勝とは、宏大(こうだい)・幽邃(ゆうすい)・人力(じんりょく)・蒼古(そうこ)・水泉(すいせん)・眺望(ちょうぼう)のこと。宋時代の書物『洛陽(らくよう)名園記』に、相反する六つの景観(六勝)を兼ね備えているのは「湖園」だけと記されていますが、まさに金沢の「兼六園」は六勝を兼ね備えた庭園であることから名付けられました。
池泉回遊式の広大な園内は、大きな池、築山(つきやま)、御亭(おちん)や茶屋が点在し、それらに立ち寄りながら遊覧できるようになっています。そして園内を流れる曲水にはいくつもの橋が架かり、多彩な樹木や苔の緑、春の桜、初夏のカキツバタ、秋の紅葉、冬の雪吊りなど、四季折々の美しさが訪れる人を魅了します。
【石川】広い園内は園内MAPを参考に! ガイドツアーもおすすめ!
兼六園には七つの出入口(料金所)があり、桂坂口、桜ヶ岡口、上坂口、小立野口、随身坂口、真弓坂口、蓮池門口のどこからでも入園・退園できます。金沢城公園、金沢21世紀美術館、本多の森にある美術館・博物館、ひがし茶屋街なども観光するなら、最寄りの出入口をSTART・GOALとして利用すると便利です。
写真左は金沢城・石川門の目の前にある「桂坂口」で、兼六園&金沢城公園のダブル観光に便利な出入口。写真右の「蓮池門口」は、桂坂口との間に茶店通りがあるので、園内散策の前後に茶店で食事・お茶をするのにも便利な出入口。
敷地は約11.4万平方メートルもあるので、漫然と歩くよりも出入口の料金所で渡されるパンフレットを参考におすすめコースを巡るほか、「兼六園めぐりガイドツアー」に参加したり、観光ボランティアガイド「まいどさん」に案内を依頼するのもおすすめ!
ここからは、ぜひ見ておきたい園内の名所を「桂坂口」から入園するコースを時計回りでご紹介します!
◆霞ヶ池(かすみがいけ)
兼六園のほぼ中心部に位置する、園内でもっとも大きな池。周辺には徽軫灯籠、虹橋、唐崎松、栄螺山や銘石、植木が配されています。池の中に浮かぶ蓬莱島は、形が亀に似ていることから亀甲島とも呼ばれています。
◆徽軫灯籠(ことじとうろう)
兼六園のシンボルとして有名な灯籠。名前の由来は、琴の糸を支える琴柱に似ているためと伝わります。二股の脚は元々同じ長さでしたが、何かの原因で折れてしまい、石の上に片脚を乗せてバランスを保っています。手前に架かる虹橋と傍らのモミジが三位一体となった景観はフォトジェニックで、多くの人がここで記念撮影をしています。
兼六園の中でもっとも枝ぶりが見事な樹木です。13代当主・前田斉泰(なりやす)が近江八景の一つ、琵琶湖畔の唐崎松から種子を取り寄せて育てた黒松です。霞ヶ池にせり出すように枝を伸ばし、水面に影を落とす姿も美しく、特に金沢の冬の風物詩となっている雪から枝を守るために「雪吊り」が施された時期は美しく、円錐型のシルエットが趣深い風情を紡ぎ出します。
11枚の赤戸室石(あかとむろいし)を使用し、雁が夕空に列をなして飛んでいく様をかたどった橋。石の一枚一枚が亀の甲の形をしていることから「亀甲橋」ともいわれ、この橋を渡ると長生きするとされてきたそう。残念ながら、現在は石の磨耗が著しく通行できなくなっています。
高さ約15mの黒松で、大小40数本もの根が地上2mにまでせり上がった迫力の奇観が見どころ。13代当主・前田斉泰(なりやす)が土を盛り上げて若松を植え、成長後に土を除いて根を露にしたものだと伝わります。
「花見橋」の名は木橋から見る季節ごとの花の眺めが素晴らしいことから。緩やかに流れる曲水に沿って桜、カキツバタ、サツキ、ツツジなどが咲き誇ります。特に5月に満開を迎えるカキツバタは名物。夏の緑陰、秋の紅葉、冬の雪景も見逃せません。
1969年に北野天満宮、大宰府や湯島天神、水戸偕楽園など、全国の名梅を集めて造成された梅林。約20種、200本の梅が植えられ、3月になると紅白の花が美しく咲き誇ります。加賀・前田家の家紋といえば梅鉢紋、そして前田家は菅原道真を祖先としているため梅とは縁が深いのです。
5代当主・前田綱紀(つなのり)が兼六園を作庭した頃からあった園内の別荘。主に茶の湯に利用され、廃藩の後(明治初期)に取り壊されてしまいました。2000年に現在地に再現され、亭内の座敷での呈茶(有料)も楽しめ、オリジナル和菓子と煎茶や抹茶を味わいながら庭園を眺めることができます。
◆瓢池(ひさごいけ)
園内で最も古い時代に作庭されたといわれ、池の中程がくびれて瓢箪のような形をしていることから名付けられたそう。池の中島には六重に重ねられた「海石塔」が建ち、霞ヶ池から流れ出て瓢池に注ぎ込む「翠滝(みどりたき)」、池のほとりに1774年(安永3年)に建てられた園内最古の建物「夕顔亭(ゆうがおてい)」も見どころ。
◆噴水
藩政末期に造られた日本最古といわれる噴水。噴水より高い位置にある霞ヶ池を水源とし、池の水面との高低差を利用した自然の水圧で水が吹き上がっています。水の高さは通常約3.5m、霞ヶ池の水位の変化で変わります。
基本情報
兼六園
石川県金沢市兼六町1 TEL 076-234-3800(石川県金沢城・兼六園管理事務所)
[開園時間]
3/1~10/15 7:00~18:00
10/16~2/末日 8:00~17:00
[料金] 大人320円、小人(6歳~18歳未満)100円
※65歳以上、障がい者などは公的証明書の提示で入園無料
【石川】桜の名所「兼六園」と四季の無料開放&ライトアップ
兼六園が初めての方も、過去に訪れたことがある方も、季節ごとの風情があり、昼と夜で表情を変える兼六園を訪れてみてください。何度訪れても感動がある、それが日本三名園であり、日本の文化財指定庭園 特別名勝にも選ばれている兼六園です。
《兼六園 無料開園》
・12月31日〜1月3日までの年末年始(大晦日から元旦にかけては夜間も開放)
・観桜期の約1週間(開花の時期により毎年変動)
※2023年は3月27日(月)〜4月2日(日) までの7日間
・金沢百万石まつりの3日間
・8月14日から16日までのお盆期間
・文化の日(毎年11月3日)
《金沢城・兼六園四季物語 2023年予定》
・観桜期:4月上旬
・春の段:5月上旬
・初夏の段:6月上旬
・ホタル観賞会:6月下旬~7月上旬
・秋の段:9月下旬~11月下旬
・冬の段:2024年2月上旬~中旬
・北陸新幹線県内全線開業特別ライトアップ:2024年3月中
基本情報
【香川】「栗林公園」の一分百景を訪ねる
兼六園と同じく、日本の特別名勝に指定されている江戸時代の大名庭園の魅力をご紹介します。
【石川県&香川県★連携】特集シリーズを読む
この特集は観光パートナーシップ協定を締結している石川県と香川県が、両県の魅力を発信している全10回のシリーズ企画です。ほかにも共通テーマを相互に取材した特集を掲載しています。
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