【石川県&香川県★連携Vol.8】伝統工芸を楽しむ最旬スポット 後編 〜つくる・体験する KOGEI〜

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石川県&香川県のコラボ特集も第8弾、今回のテーマは「工芸」です! 石川県は「工芸王国」ともいわれ、伝統工芸の技が県内各所に数多く受け継がれ、九谷焼、加賀友禅、山中漆器、輪島塗などが有名ですが、今回は加賀地域が産地の「九谷焼」「山中漆器」を楽しめるスポットや体験を前編・後編で特集! 後編では山中漆器の絵付け&拭き漆の体験、香川県からは「丸亀うちわ」の手作り体験をご紹介します。

 

【石川県&香川県★連携】特集は、観光パートナーシップ協定を締結している石川県と香川県が、さまざまな観光コンテンツをテーマに全10回にわたり両県の魅力を発信しています。

【石川県&香川県★連携Vol.8】伝統工芸を楽しむ最旬スポット 後編 〜つくる・体験する KOGEI〜

【石川】世界に一つ、自分だけの「山中漆器」のお箸・お椀づくり

石川県加賀市の山中(やまなか)温泉は、1300年の歴史がある名湯であるとともに、400年続く「山中漆器」の一大産地です。特集の前編では、山中漆器の職人の技を見学・体験できるツアーをご紹介しましたが、見学だけでなく、実際に自分で「山中漆器」を作ってみたい人にご紹介したいのが、漆の絵付け、拭き漆の体験ができる「浅田漆器工芸」です。温泉街の少し奥にある工房で、伝統のろくろ挽きの木地づくりから、漆を塗る作業までを一貫して行い、暮らしの中で身近に使える山中漆器を提案しています。

店内では国産の木にこだわった漆器類が展示・販売され、木のぬくもりが伝わってくる木目を活かした拭き漆の器や、伝統を受け継ぎながらも独自に開発した淡いピンクやブルーの漆器など、カジュアルな品が多いのが特徴。このお店の2階がワークショップのスペースで、プロの職人さんの手ほどきを受けながら、漆絵付けと拭き漆の漆器づくりが体験できます。


漆絵付け体験


漆絵付け体験は、店内にある漆塗りのお皿やお椀、箸からベースとなる漆器を選んで絵付けします。素材にチョークで好きな絵柄を下書きし、6色ある色漆と筆を使って絵を描き、漆が固まる前に金粉や銀粉を蒔いて仕上げます。

 

天然の漆を使うので、かぶれないように手袋やアームカバー、エプロンなどを着用します。所要時間は40分から1時間半、箸は2,750円、お椀は3,850円で作品を作ることができ、漆を乾かして仕上げてから10日ほどで配送されます(送料別途)。


拭き漆体験

拭き漆の体験は、無塗装の木地を選ぶことから始まり、箸、スプーン、お椀、カップなどシンプルで使い勝手のよいものが揃っています。拭き漆は木目が見える仕上がりが特徴で、一つひとつ異なる木地の年輪が個性になるので、気に入った木目のものを選びましょう。
ベースの木地が決まったら、色は伝統的な赤、黒、茶色から1色を選び、ハケを使って全体にムラなく塗ります
塗り終えたら専用の紙で擦り込みながら、余分な漆を拭き取ります。体験の漆を塗って拭く工程は1回だけですが、完成までには乾燥と塗る、拭く作業を繰り返し行う必要があり、残りの作業は職人さんが行い、完成品が10日ほどで手元に配送されます。

絵付けに比べて拭き漆は短時間で作業ができるので、絵付け用の色漆を使ってサインや絵柄を入れることもできます。同時に複数の作品を作ることもでき、体験料1,650円+木地(お椀・カップ2,750円、箸・カトラリー1,100円)代金なので、お椀と箸をセットで作るのもいいですね(送料別途)。

基本情報

浅田漆器工芸

石川県加賀市山中温泉菅谷町ハ215

TEL 0761-78-4200

[営]9:00〜17:00(体験受付 16:00まで)

[休]年末年始

浅田漆器工芸
ここからは、石川県と観光連携している香川県の「丸亀うちわ」についてご紹介します。

【香川】1本の竹から作る日本の伝統的工芸品「丸亀うちわ」

風光明媚な瀬戸内海に面し、歴史と自然に恵まれた丸亀市は、日本一のうちわ(団扇)の産地です。古くから伝わる「丸亀うちわ」は、職人の磨き抜いた技により多彩な形や図柄が施され、夏場に涼を取るためだけでなくインテリアにも使われています
丸亀うちわは国の伝統的工芸品に指定され、その最たる特徴は柄と穂の全てを1本の竹から作っていることです。1本が完成するまでに47もの工程を経て作られ、その一つひとつの工程に日本の伝統を守る職人芸が光ります。

Column

《丸亀うちわの歴史》

「丸亀うちわ」の始まりは武士の内職で、後に町民にまで広がりました。天明年間(1781〜1788年)に丸亀藩主・京極家の藩士たちが、江戸屋敷の隣にあった豊前中津藩(現・大分県)の藩士からうちわづくりを教わり、内職として励んで江戸詰中の小遣いや、帰郷の際の土産代に充てていたといわれています。

天保年間(1830〜1843年)になると、藩の財政難を救うためにうちわづくりが奨励され、藩士たちの中から一人前になった者が周囲の人に技術を教えたため、うちわの技術者が増えて生産が増加。金毘羅船が着く丸亀港が整備されると、全国から金毘羅参拝客が殺到し、参拝客のほとんどが軽くて荷物にならない丸亀うちわを土産に持ち帰るようになりました。明治に入ると、奈良うちわに習った「男竹平柄(おとこだけひらえ)うちわ」が急速に普及し始め、現在、全国的に有名な丸亀うちわは、この男竹平柄うちわです。

《丸亀うちわの歴史》

今回訪れたのは、丸亀城内にある「うちわ工房 竹(たけ)」。現在、竹を使って丸亀うちわを制作している職人は30人前後で、高齢化や後継者不足が深刻な課題となっています。丸亀うちわの約85%をプラスチック製のうちわが占めていますが、「うちわ工房 竹」では今も竹を使い、ほとんどの工程を手作業で行う伝統を守り続けています


※丸亀城については【第3回】石垣の名城を巡る〜香川県・丸亀城と石川県・金沢城を参照

店内には、さまざまな種類の丸亀うちわが豊富に展示・販売され、熟練した職人によるうちわづくりの実演や、制作体験などもできます。今回は、手作りの温かみと気品を感じる作品を生み出す、伝統工芸士の三谷順子(みたにじゅんこ)さんに、丸亀うちわの制作工程を教わり、丸亀うちわづくりにも挑戦しました!
「丸亀うちわ」制作工程の見学
うちわに適した大きさに竹を切り、切り込み機を使って34~35本が同じ幅になるように割いていきます。
弓竹を通した穂を糸で編む作業。網のいびつさを直しながら、左右対称になるように糸をとじつけていきます。

「丸亀うちわ」制作体験
「うちわ工房 竹」には、三谷さんをはじめ6名の丸亀うちわ職人が在籍し、制作体験では骨制作、貼り、たたきなどを丁寧に教えてくれます。竹によって仕上がりに違いが生まれるので、うちわづくりに適した竹を選ぶことが大切です。丸亀うちわは「男竹=真竹」を使用し、良い竹を見極めるには「節」を見るのがポイントなのだとか。
竹を加工する骨の工程は出来栄えを左右するので、専用の器具を使い丁寧に作っていきます。初めて体験する場合でも職人さんが丁寧に教えてくれるので安心。


貼りの工程では、たくさんある図柄から好きな紙を1枚選び、先に作った骨に破れないように、丁寧に優しく貼り付けます


木槌で叩いて型取りして、余分な部分を切り取ってうちわの形に仕上げます。最後にうちわのヘリに細長い紙を貼ったら作業は終了!

体験は丸亀うちわ1本1,000円、前日までに電話で予約が必要で、所要時間は約1時間前後。貼ってから乾くまでに1時間前後かかるので、仕上がりを待つ間に丸亀城を散策するのがおすすめ。自分だけの「丸亀うちわ」は旅の思い出づくりにぴったりですよ!

基本情報

うちわ工房 竹

香川県丸亀市一番丁 丸亀城内

TEL 0877-25-3882

[営]9:30〜16:30

[休]無休

うちわ工房 竹

【香川】「丸亀うちわミュージアム」で歴史に触れ、伝統工芸を体験!

香川県には、「丸亀うちわ」の歴史・文化に触れ、制作体験ができる施設がもう一つあります。それが総合博物館「丸亀うちわミュージアム」です。丸亀うちわの歴史を伝えるうちわの数々、貴重な文献などが展示され、実演コーナーでは伝統の技と工程を披露するほか、体験教室なども開催されます。
これまで「うちわの港ミュージアム」という名称でしたが、2023年4月に大名庭園「中津万象園(なかつばんしょうえん)」の中に「丸亀うちわミュージアム」として移転オープン。中津万象園は、1688年に丸亀藩主の京極氏により築庭された池泉回遊式の大名庭園で、丸亀うちわ体験と併せて風情ある景観も見どころ。フランス絵画を展示する「丸亀美術館」も併設されています。

基本情報

丸亀うちわミュージアム

香川県丸亀市中津町25-1(中津万象園内)

TEL 0877-23-6326

[営]9:30~17:00

[休]水曜

伝統工芸を切り口にした石川県と香川県の旅はいかがでしたか!? 工芸に着目した観光は、その土地の歴史や文化を知ることができ、古くて新しい魅力にも出会えます。工芸品のお土産を持ち帰れば、見るたびに旅したときの楽しい思い出もよみがえりますよ! 特集の後編からご覧の方は、伝統工芸の新しい旅スタイルを紹介する前編「泊まる・食べる・巡る KOGEI」もぜひご覧ください。

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