【石川県&香川県★連携Vol.4】石川の「天然能登寒ぶり」&香川の「ハマチ三兄弟」

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石川県&香川県のコラボ特集の第4弾は、冬の味覚「鰤(ブリ)」がテーマです。石川県は日本有数の天然ブリの産地で、香川県は世界で初めてハマチ(ブリ)の養殖を事業化した産地です。今回は、石川と香川が誇る自慢のブリについてレポートします。

 

【石川県&香川県★連携】特集は、観光パートナーシップ協定を締結している石川県と香川県が、さまざまな観光コンテンツをテーマに全10回にわたり両県の魅力を発信しています。

【石川県&香川県★連携Vol.4】石川の「天然能登寒ぶり」&香川の「ハマチ三兄弟」

成長過程で名前を変える、全国で呼び名が違う出世魚

日本近海の広域回遊魚の代表種であるブリは、成長するにつれ呼び名が変わり、姿かたち、味わいも変化して美味しくなる「出世魚」として知られています。

石川県ではコゾクラ→フクラギ→ガンド→ブリへと呼び名が変わり、香川県ではモジャコ→ツバス→ハマチ→ブリへと変化し、全国各地でその呼称が大きく異なります。 ブリは縁起物の出世魚として珍重され、冬に旬を迎えることから末年始の祝いごとや贈答品に用いられています。

石川県では、その年に結婚したお嫁さんの実家から嫁ぎ先へブリを贈る「嫁ブリ」の風習があります。結婚後の初めてのお歳暮に出世魚のブリを贈ることで娘婿の出世を願い、嫁ぎ先で慣れない娘を気遣う親心が込められています。ブリをもらった嫁ぎ先では捌いて半身を嫁の実家に返す「半身返し」を行い、両家が親戚や近所に配るのが伝統です。

【石川】冬の日本海へ雷鳴と共にやって来る「天然能登寒ぶり」

11月頃、「ぶり起こし」と呼ばれる雷鳴が轟く時期になると、石川県では本格的なブリ漁が始まります。ブリは春に東シナ海から九州近海の温かい海で生まれ、夏までには北上し、初冬から春には産卵のために南下します。
産卵前で脂がのったブリは「寒ブリ」と呼ばれ、11月〜翌年2月にかけてが旬。石川県では能登半島沿岸の定置網で産卵のために南下する寒ブリを漁獲し、そのなかで7kgを超えるものは「天然能登寒ぶり」ブランドとして全国に出荷しています。

能登半島の内浦(富山湾側)は海底が急深な地形で、寒ブリなどの回遊魚が岸近くまで回遊するため定置網漁が発達。全国的にも有数の定置網地帯で、石川県全体で大小合わせて100以上ある定置網の大部分が内浦海域に集中しています。

【石川】2022年、最高級ブランド「煌(きらめき)」がデビュー

「天然能登寒ぶり」のトップブランドとして、今冬から「煌(きらめき)」がデビューしました。2022年12月1日から翌1月31日までの期間、「天然能登寒ぶり」のうち所定基準をすべて満たすものだけが、市場の目利き人により「煌」に認定されます。

<認定基準>

◆石川県内の定置網で獲られる天然能登寒ぶり

◆重量14kg以上

◆12月から翌年1月までの間に限定

◆傷がなく胴回りが十分あること

◆鮮度の徹底(氷締めや活締めを施す等)

◆資源管理への積極的な取り組み

(地区ごとに年間2~3ヶ月の網揚げ休漁を行うほか、小型魚が入らないよう網の目を大きくするなど、将来寒ブリとなる資源を守る自主的な資源管理を実施しているもの)

12月1日には「石川県漁業協同組合 かなざわ総合市場」で天然能登寒ぶり「煌」の初セリとグランプリ(最高金額)を決める「鰤-1(ぶりわん)グランプリ」が開催されました。この日、石川県内でセリにかけられた「天然能登寒ぶり」は、かなざわ総合市場522本、七尾市場などで95本。そのうち10kgを超えたのは合計74本で、「鰤-1グランプリ」には10本が参加しました。
「鰤-1グランプリ」では1本ずつ測定や記録が行われ、目利きによる厳しい審査を経て「煌(きらめき)」に認定されたのは1本のみ! 水揚げされた617本のうち1本だけという超難関でした。
第1号に認定されたブリは七尾市の「岸端(きしはた)定置網」で水揚げされたもの。重さは15.5kg、尾叉長(びさちょう:上アゴの先端から尾ビレが二叉した中央部のへこみ部分までの長さ)が94cmあり、「煌」認定の証として石川県産材の能登ヒバ(アテの木)の認定プレートが添えられました。
セリには多くの仲買人が参加し、候補に上がった9尾が次々と落札され、7万円〜15万円ほどの値がついていました。なかには「煌」の認定は逃したけれど14kg台のものも2本ありました。
ブランド認定1号の「煌」のセリは、仲買人の周りを多くのギャラリーが囲み、まるでファンに取り囲まれたアイドルのよう。
100万円、200万円と根がどんどんつり上がり、最終落札額は何と400万円に! 競り落としたのは石川県内で食品スーパー「どんたく」を展開する能登・七尾市に本社がある企業でした。
「天然能登寒ぶり」としてはもちろん、寒ブリとしても史上最高額となり、前年にデビューし500万円で落札された加能ガニ「輝(かがやき)」、今年11月にデビューした香箱ガニ「輝姫(かがやきひめ)」30万円に続いて、新たな石川ブランドが華々しいデビューを飾りました。

【石川】「煌」も「天然能登寒ぶり」も気軽に買えます!食べられます!

こちらは「鰤-1グランプリ」の会場でメディアに振る舞われた試食の「天然能登寒ぶり」です。「煌」でなくても、この身の大きさ、脂ののりを見てください! 醤油にわさびもいいけれど、脂がのった「天然能登寒ぶり」は、大根おろしと一味唐辛子をかけて食べるのが漁師さんのおすすめだそうです。
「400万円もする煌は一切れいくらになるの?」「石川県で天然能登寒ぶりを食べたいけど超お高いのでは?」と心配になるかもしれませんが、どうぞご安心ください。

400万円は初物のご祝儀価格で、初セリ以降の「煌」や「天然能登寒ぶり」も高級ではありますが、決して手が出ないほどではありません。「煌」第1号を落札した「どんたく」でも金沢の店舗で展示しながら2日間熟成させた後、通常の「天然能登寒ぶり」と同じ1人前500円ほどで販売されました。
12月から2月にかけて、石川県内の食品スーパーや魚屋さんを訪れると、どこでも美味しいブリが手軽に入手できます。セリが行われた「かなざわ総合市場」の前にある「いきいき魚市」や、金沢市の中心部にある「近江町市場」では鮮魚店で発送もしてもらえるので、自分用の旅のお土産や大切な人への贈り物にするのもおすすめ。ブリは2日ほど熟成させると、さらに美味しくなるので届く頃がちょうど食べ頃です。

【石川】おいしい海の幸なら石川県へ、天然ブリを食べるなら石川県で!

冬の石川はブリ、カニ、カキなど旬の味覚が揃い踏み。季節の味を求めて全国から食通や観光客が冬を目掛けて訪れます。

ブリは定番の刺身、寿司のほか、近年は脂がたっぷりのった切り身を出汁にくぐらせて食べるブリしゃぶも人気で、カルパッチョなどの洋風メニューで食べられる店もあります。全国的には照り焼きがメジャーですが、石川県では上質なブリを堪能できる塩焼きが定番。そして、ぜひ食べておきたいのが、郷土料理の「ぶり大根」と「かぶら寿司」です。
「かぶらずし」は薄切りのブリをカブで挟んだ熟鮓(なれずし)の一種で、お歳暮や年末年始のご馳走として欠かせない郷土料理。麹の甘味、カブの歯応え、ほどよく熟成したブリとのハーモニーが絶品です。
今では全国の居酒屋でも食されるようになった「ぶり大根」は北陸の郷土料理です。

冬期の寒ブリはとくに脂がのっていて、刺身で食べると醤油をはじくほど。特にトロの部分は口の中でとろけます。ブリのカマも大きくて、脂ののりも最高で食べ応え満点です!


冬の石川県は、まさに海の幸の宝庫。美味しいブリ、日本海の幸を食べに訪れてみませんか。「ほっと石川旅ねっと」の特集でも、美味しいお店の情報をご紹介しています。

基本情報

美味!日本海の幸

「寒ブリ」をはじめ、「加能ガニ」「香箱ガニ」「甘エビ」「ノドグロ」「岩ガキ」など、日本海の新鮮な海の幸がたっぷり味わえる石川県。「寿司」「海鮮丼」など、職人の技でさらに美味しい料理となって提供されています!

美味!日本海の幸

基本情報

JFいしかわ 石川県漁業協同組合

「寒ブリ」や「加能ガニ」をはじめ、石川県の旬のお魚情報が満載! 「かなざわ総合市場セリ見学ツアー」なども開催されています。  

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JFいしかわ 石川県漁業協同組合
ここからは、石川県と観光連携している香川県の養殖ブリについてご紹介します。

【香川】世界初!香川県のハマチ養殖の歴史

出世魚のブリは、香川県ではモジャコ、ツバス、ハマチ、そしてブリへと成長していきます。香川県のハマチ養殖は古い歴史があり、その始まりは1928年(昭和3年)にまで遡ります。香川県東部、東かがわ市引田の野網和三郎(のあみ・わさぶろう)が安戸池(あどいけ)でハマチの餌付けに成功。世界初のハマチ養殖の事業化、世界初の海産魚の近代的な養殖の成功でもあり、世界の海産魚類養殖の礎になりました。

2021年現在で、香川県のブリ類(ブリ、ハマチ、カンパチ)の生産は年間6,800tで、全国第7位の生産量を誇っています。

【香川】香川ブランド「ハマチ三兄弟」の誕生

ハマチは1995年に香川県の県魚として指定され、2008年にハマチ養殖80周年を記念して「香川ブランドハマチ三兄弟」が誕生しました。

大きな生簀でのびのびと大らかに育った長男「ひけた鰤」、潮の流れの速い海で元気に育った次男「なおしまハマチ」、県魚のハマチと県木県花のオリーブのコラボーレーションによって生まれた三男「オリーブハマチ」。ハマチ養殖発祥の地ならではの歴史が築き上げ、個性があふれる「ハマチ三兄弟」は、県民に広く愛されています。

◆長男「ひけた鰤」
大きな生簀でのびのびと飼育された長男「ひけた鰤」は、ハマチ養殖発祥の地・東かがわ市引田(ひけた)で生産されています。経験と努力を積み重ね、今ではハマチから立派に出世したブリを養殖しています。「ひけた鰤」は、引田の沖合6kmに設置された25m四方、深さ20mの超大型小割生簀のゆったりとした環境で、ストレスなく飼育されています。厳選されたエサと広い生簀で運動量豊富に飼育された身は、グッと引き締まっています。

「ひけた鰤」は、広い生簀の中で厳選されたエサを与えられ体重4kg以上に育てられます。腹の部分に1番脂がのっていて、背の部分はさっぱりとした味わいを楽しめます。

◆次男「なおしまハマチ」
アートの島としても有名な直島は、香川県屈指の養殖ハマチの生産地でもあります。そこで飼育されたハマチを「なおしまハマチ」といい、「健康な魚を育てること」を養殖テーマに、栄養バランスが整った投餌を行うとともに、毎月1回の「身体検査」で健康状態や肥満度がチェックされています。

また、直島を含む海域は備讃瀬戸(びさんせと)と呼ばれ、潮の流れが速く、秋口には急激に水温が下がることから、「なおしまハマチ」は引き締まった身と程よい脂のノリが特徴。刺身はもちろん、しゃぶしゃぶ、カルパッチョにしても美味しくいただけます。

◆三男「オリーブハマチ」
2008年に実施されたハマチ養殖80周年記念事業の中で、ブランドハマチの創出等を目的に製品向上委員会が設立され、高品質なハマチの研究の末に香川県が誇るブランドハマチ「オリーブハマチ」が誕生しました。

「オリーブハマチ」は、オリーブの葉の粉末を添加した餌を規定の回数与えて飼育されます。オリーブの葉には、抗酸化作用の強いポリフェノールの一種「オレウロペイン」が豊富に含まれていることから、「オリーブハマチ」は肉質が酸化・変色しにくく、臭みの少ないさっぱりとした味わいが特徴といわれています。また、同様の飼育法で生産された大型サイズのものを「オリーブぶり」と呼び、「ハマチ」よりも「ブリ」が好まれる地域向けに出荷されています。

オリーブ葉粉末とオリーブ添加MP。「オリーブハマチ」を週1回、生(刺身)で300g摂取することで、日常生活の疲労改善、ストレス軽減、リラックス効果が得られることが研究で明らかになっています。

【香川】「オリーブハマチ」の生みの親を訪ねて

「オリーブハマチ」養殖の第一人者、「島野養魚」の代表・嶋野文太さん(左から2番目)を訪ねて、漁の現場を見せていただきました。嶋野さんの漁場は「オリーブハマチ」養殖が盛んな庵治町の沖合にあり、10m四方の生簀17台で約5万匹の「オリーブハマチ」を飼育しています。
嶋野さんが飼育において大切にしているのは、①効率的な給餌、②データの整理整頓・組み立て・絞り込み、③魚に向き合い妥協しないこと。ハマチの飼育に適した水温や潮の流れなどといった外部環境をしっかりと把握して、遊泳しながら餌を食べるハマチが取りこぼしをしないよう丁寧に給餌しています。

毎日の水温や日照時間、山の色のなどを「魚類養殖日誌」に記録し、緻密なデータに基づいた飼育を行っていますが、「寝る前も魚のことが気になる」という嶋野さん。
魚を傷つけないよう網にシートを被せたり、船内の生簀に入れる際にはクッションを敷いた台を用いたりするなど一切の妥協がありません。船内の生簀は海水を強制的に循環させる仕様で、漁場から港までの間に酸欠などの症状で魚の鮮度が落ちてしまわないようになっています。
そんな嶋野さんが飼育した「オリーブハマチ」は、高松市庵治町にある「珈琲 あるぷす」でいただくことができます。10〜12月末頃まで提供される「オリーブハマチの炙り丼」は、身をサッと炙ることで香ばしさと脂の旨味を堪能することができます。生(刺身)で食べても美味しいですが、嶋野さんのおすすめは「炙り」なのだとか!
「オリーブハマチの炙り丼」(1,600円)は、くぎ煮、味噌汁付き。10月〜12月末頃までの期間限定で、毎年楽しみにしているファンも多いそう。


いかがでしたか? 石川県の「天然能登寒ぶり」と香川県の養殖ブリのブランド「ハマチ三兄弟」。どちらも、その地域の自然の恩恵を受けた、特徴ある美味しいブリ。この冬は、ブランドブリの食べ比べに、両県を訪れてみるもよし、お取り寄せで食べ比べを楽しむのもいいかもしれませんね。出世魚でとびきりの口福(こうふく)が皆さんに訪れますように!

【石川県&香川県★連携】特集シリーズを読む

この特集は観光パートナーシップ協定を締結している石川県と香川県が、両県の魅力を発信している全10回のシリーズ企画です。今回は両県の特産である海の幸「ブリ」を特集しましたが、ほかにも共通テーマを相互に取材した特集を掲載しているので、ぜひご覧ください。

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