歌舞伎で有名な石川県小松市で、勧進帳の世界を堪能
ほっと石川旅ねっと体験ライターの沖﨑松美です。
今回巡るのは、石川県南部の小松市です。 歌舞伎「勧進帳」の舞台となった安宅の関や曳山子供歌舞伎など、歌舞伎とゆかりが深いエリアを訪ねました!
豪華絢爛な曳山二基を間近でご覧あれ!!
毎年5月中旬に行われる「お旅まつり」では、250年以上の歴史がある曳山子供歌舞伎が曳山の上で上演され、武蔵秩父・近江長浜とともに、日本三大子供歌舞伎に数えられています。
ここ「こまつ曳山交流館 みよっさ」では、漆塗や螺鈿(らでん)などを施した豪華絢爛な曳山を常時2基展示していますので、いつでも見学が可能です。また今回は、だれでも気軽に歌舞伎風メイク体験を楽しむことができる、歌舞伎役者なりきり体験にチャレンジしてみました!
展示室では曳山を展示。御殿のような立派な屋根や舞台天井には九谷焼作家による絵があったりと、そこかしこに施した雅な伝統工芸の装飾などにも目を奪われます。体験の前に見学しておきましょう。
体験は2階で行いました。
体験の中でも人気ナンバー1という、「歌舞伎役者なりきり体験」(500円)に挑戦してみます。
勧進帳の三役である弁慶、義経、富樫のほか、助六、姫の5役から1つを選ぶことができますが、今回は赤い隈取りが入る助六をチョイスしました。
今日はバッチリメイクをしてきたのに・・・残念ですが落とします(メイク落としは用意されています)。すっぴんになったところで、おしろいを普段より濃いめに塗っていき、眉も唇も白く塗りつぶします。
助六の顔見本が用意されているので、それに沿って紅と墨で大胆に隈取りを描いていきます。スタッフの方も丁寧に教えてくれるので、失敗せずになんとか大胆メイク完了!
着ている洋服の上から重ね着するので、洋服のままでも大丈夫。スタッフの方が着付けてくれます。赤襦袢の上に白を重ね、その上に黒の小袖の衣裳。帯を締めて江戸紫色の鉢巻きを着けたら完成。
江戸時代の粋なイケメン「助六」の完成です。
着付けが終わったら、曳山の前で記念撮影です。
助六には決めポーズがあって、蛇の目傘を持ってのカタチ。それもスタッフが教えてくれます。ただ、見栄を切るのはなかなかうまくいきません。
が、まずまず様になってますよね?
ちなみに、歌舞伎で助六の役柄というと、粋な江戸っ子であり、江戸一番のイケメン。ケンカが強くて、女性にはめっぽうモテるというカッコいい系の男子です。この衣裳も黒い着物の襟や袖、裾からチラッとのぞく赤が艶っぽくていいのだとか。
こちらでは、見学や体験時間を含めておよそ60~90分程みておくとよいですよ。
基本情報
こまつ曳山交流館 みよっさ
【住所】石川県小松市八日市町72-3
【電話番号】0761-23-3413
【開館時間】10:00~17:00
【定休日】年末年始(12月30日~1月1日)、12月~3月は水曜(祝日の場合は翌日休)
【駐車場】4台、他、おもいやり駐車場あり
《みよっさ体験メニュー》
※要事前予約。
【体験料金】歌舞伎風メイク体験300円、なりきり衣裳体験300円、なりきり黒衣体験200円、三味線体験100円、抹茶体験200円、口上体験と鳴物体験は無料
難関突破のお守りが人気の『安宅住吉神社』でお参り
安宅住吉神社は天応2年(782)の創建と伝わる古社。開運厄除、交通安全、縁結びにご利益があるとされ、地元からは「安宅の住吉(すみよし)さん」と呼ばれ、親しまれています。
かつて北陸道往来の旅人が、旅の途中に無事を祈り参拝したことや、このすぐそばにある歌舞伎十八番の「勧進帳」の舞台・安宅の関があることから、"難関突破"の神としても崇められており、受験生の参拝も多いそうです。
※「歌舞伎十八番(かぶきじゅうはちばん)」とは?
成田屋の七代目團十郎が、1830年ごろに「歌舞伎狂言組十八番」の制定をしました。お家芸となるような歌舞伎の演目を「18」選んだのです。それが受け継がれ、「歌舞伎十八番」といわれるようになったそうです。
これは今でいう、「十八番(おはこ・じゅうはちばん))の語源ともいわれ、もっとも得意な芸や技のことを意味しています。
安宅住吉神社の宝物をはじめ、神社に奉納されている江戸錦絵や北前船の船絵馬、安宅の関のことなど、10分ほどですが丁寧に説明してくれました。ありがとうございました。
巫女さんいわく、義経一行が安宅の関にさしかかった際に関守に止められ、通れるとは思えない状況に直面。にもかかわらず、無事に通過できたという逸話から、こちらのお守りや絵馬・手形などには、難関突破のご利益があるとのことでした。
ほかに厄除御守、安産守、縁結守など、ご利益に応じたお守りがあります。また、御朱印もその場で書いていただけますので、お忘れなく。
この神亀石の背をなでると、延命長寿と末広がりのご利益にあやかれると語り継がれているそうです。
境内には勧進帳を読む弁慶の像も立っています。本殿に向かって右側、稲荷社の前に巻物を広げている像です。
歌舞伎のストーリーでは、何も書いてない巻物を、さも書いてあるかのように弁慶が読み上げるというシーンがあり、その再現の像だそう。迫力たっぷり!
基本情報
安宅住吉神社
【住所】石川県小松市安宅町タ17
【電話番号】0761-22-8896
【拝観時間】8:30~17:00
【料金】拝観無料、御朱印300円、難関突破御守(初穂料800円)
【駐車場】30台
歌舞伎十八番の一つ「勧進帳」の舞台、安宅の関へ
兄の頼朝に追われた義経が奥州平泉へ逃げのびる際、山伏に変装してこの安宅の関を通ります。関守の富樫が義経だと感づきながらも、義経に仕える弁慶が涙をこらえて義経を責めるのを見て感動し、見逃したという美談、歌舞伎の一場面です。
『こまつ勧進帳の里』で歌舞伎のおさらい
中でも、歌舞伎「勧進帳」についてさらに詳しく学ぶことができる「勧進帳ものがたり館」内のシアターは必見です。
平安時代から鎌倉時代にかけて生きた武将、源義経が登場する歌舞伎「勧進帳」の名場面を、成田屋が演じる映像で見ることができます。十二代目市川團十郎が弁慶、十一代目市川海老蔵が富樫を演じているものですが、迫真の演技にちょっと感動でウルウルしました。
最後は舞台に上がってイラストの三人と記念撮影も可能です。
女性なのに「よっ 色男!」と言われましたけど・・・。
ものがたり館には、入館した人が1枚折ることができる折り紙が置いてありました。気になる方はぜひ折ってみてください。
基本情報
「安宅の関」こまつ勧進帳の里 勧進帳ものがたり館
【住所】石川県小松市安宅町タ140-4
【電話番号】0761-21-6734
【定休日】水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
【開館時間】9:00~17:00(入館は~16:30)
【駐車場】約40台
【料金】ものがたり館入館300円、高校生以下150円
海を見渡す好ロケーションでランチ
日本海、安宅海岸に臨んで立つ店内からのロケーションは想像以上の美景。ぼぉーっとただ海を眺めていたい、そんな気持ちにさせてくれる癒し系のカフェです。
とはいえもうこんな時間。お腹が空いたのでお昼をいただきます!
当日のFOODは4種類。お魚ごはん、ブイヤベースヌードル、猪のカレーライス、鹿パストラミと葉野菜のサラダです。スイーツはクレープが1種類、コーヒーや加賀紅茶などのドリンクが6種類、ワインなどのアルコール類も用意されています。
注文カウンターでの前払い制です。お魚ごはんは安宅漁港に水揚げされる魚介をメインにしたもので、「今朝いいお魚が入ったので、それを刺身にしますね」とシェフ。
定食風を想像していたら、出てきたのはまったく違って、皿ご飯の上に、締めサバ、タイ、ヒラメがのってタレがかけてあり、オリーブオイルとバルサミコが周りを囲んでいる洋風。これがまたおいしくて、刺身のプリプリ感や旨みもバッチリでした。
鹿肉は石川県の白山麓で捕れるジビエ。その肉を香辛料で調味し、軽く燻製したパストラミは、クセもなくやわらか。サラダに入っていた柿とも絶妙のコンビで、ワインが欲しくなりました(笑)
目の前にある絶景とグルメで、心もカラダも満たされる1日。砂浜に出ての散歩もいいし、サンセットも見たい。今度はそうしよう!
ATAKA CAFEの一角には売店の「うみのえき安宅」があります。
地元の特産品や勧進帳にちなんだおみやげが並び、関所せんべい(5枚入260円)、カブッキーもなか(1個140円~)、豆つなぎ餅(1個216円)、こまつ歌舞伎ビール(350㎖缶1本360円)、日本酒の安宅の関(180㎖1カップ370円)と大量に買い込みました。
友人にもおすそ分けします!
基本情報
ATAKA CAFE
【住所】石川県小松市安宅町タ140-4
【電話番号】070-1461-7561(売店うみのえき安宅は0761-21-6734)
【定休日】水曜(祝日の場合は翌日)、年末
【開館時間】11:00~21:00(売店うみのえき安宅は9:00~17:00)
【駐車場】40台
安宅の関では運がよければ日本海に沈む夕日が見られるので、カフェで夕日を見ながら夕飯というのもアリ。最初の歌舞伎風メイク体験では、お化粧を落としてからの体験になるので、お化粧ポーチを忘れずに。