【すず塩田村の今】復興への希望を紡ぐ~能登で歩む人々にインタビュー~(すず塩田村代表 石田尚史さん)
令和6年能登半島地震と令和6年奥能登豪雨により、能登地域は大きな被害を受けましたが、被災地ではインフラの復旧が徐々に進み、復興に向けた動きも少しずつですが、着実に進み始めています。
能登で頑張っている方へのインタビューをしながら、能登復興を応援する企画の第5弾。
今回は、石川県珠洲市にある道の駅「すず塩田村」の代表、石田尚史さんにお話しをお伺いしました。

すず塩田村とは
道の駅すず塩田村は、能登地方に約500年以上前から伝わる「揚げ浜式」による製塩を行いながら、その伝統を伝えるために造られた塩の総合資料館です。
美しい景色を眺めながらの休憩やご当地土産の購入、揚げ浜式製塩の体験など、さまざまな用途で利用できます。
すず塩田村での塩づくり
窯元で本焚きし、5~7日程度で塩が完成します。窯元で作業しているときは誰でも見学可能です。
焚いている間はずっと火の番が必要で、火の調整は高度な技術が必要なため職人さんお一人で実施しているそうです。
火を焚く際、廃材は使わず横の山からとってきた木材を使っていることが特徴です。「塩は海からではなく山からできている」、山と海が近い地形だからこそできる塩づくりなんです。
すず塩田村の今
すず塩田村は、令和6年能登半島地震の影響でしばらく休業していましたが、2025年3月から一部営業を再開しています。
震災後、最も大きな影響を受けたのは道路と水道のインフラで、特に断水は1年以上続き、営業ができない状況が続いていました。しかし、2025年の2月にようやく断水が解消され、一部営業を再開することができました。ボランティアの支援や個人観光客の訪問もあり、少しずつ活気を取り戻しつつあります。
2025年3月21日現在、月曜日~金曜日は祝日でも営業しており、営業時間は9時から16時までです。店舗は簡易的な売店で営業し、揚げ浜塩などの製品が販売されていますが、震災以降生産量が大幅に減少したため、「奥能登揚げ浜塩」に関しては購入は1人3個までに制限されています。また、オンラインショップの販売は現在一時的に閉鎖されています。
→2025年4月1日より土日祝日を含め年中無休での営業となりました!(2025年4月1日追記)
代表取締役社長 石田尚史さんにインタビュー
取材の中で、代表取締役社長の石田尚史さんに「すず塩田村」の復興についてお話を伺いました。
【石田さんのご経歴】
平成7年〜奥能登塩田村管理組合設立から参画
平成21年〜株式会社奥能登塩田村の取締役に就任
~令和5年 地元郵便局「大谷郵便局」の郵便局長(珠洲市大谷町出身)
令和5年〜株式会社奥能登塩田村の代表取締役社長に就任
震災と豪雨に見舞われ非常に大変だったかと思いますが、すず塩田村の状況はいかがだったでしょうか。
塩づくりの根幹に影響があったのですね。
現在、営業再開に向けた進展はありますか?
- すず塩田村 石田さん
- はい、2025年の3月に断水がようやく解消され、今月から少しずつ営業を再開しています。ボランティアの皆さんや観光客が少しずつ訪れてくださり、心強く感じています。ただ、まだ道路の復旧が完全ではなく、震災以前のように気軽に立ち寄れる状況ではありませんが、ぜひ一度、復興途上の奥能登の現状を見ていただきたいと思います。
国道249号線の復旧目処が立たないため、一般車両が輪島方面からすず塩田村へ行くことはできない状況です。
ただし、珠洲市内から県道52号を通るルートであればお越しいただけるとのことです。
塩の生産状況については、いかがですか。
- すず塩田村 石田さん
- 塩作りは、豪雨の影響で一時停止していましたが、ボランティアの協力のおかげで、2025年4月から再開できる見込みが立ちました。しかし、スタッフが少ないため、例年の半分以下の生産量となっています。それでも、私たちは地域の力を信じて、少しずつ回復していくつもりです。天候にも影響される作業なので、珠洲に長く滞在される方などはボランティアのご協力をいただけるとありがたいです。
支援者や観光客の方の訪問も少しずつ再開していますね。
お越しいただく皆様にはどのように過ごしていただきたいと思っていますか。
- すず塩田村 石田さん
- 現在のすず塩田村では、塩を購入したり、時間が合えば塩作りの様子を見学していただいたりすることができます。また、隆起した海岸を眺めながら、ベンチで休憩することもできます。ごく稀ですが、天気のいい日は佐渡ヶ島が見えることもありますので、自然の美しさを楽しんでいただけるかと思います。お越しいただく皆様には、今の珠洲の現状を実際に見て知っていただき、復興を応援していただければ嬉しいです。
最後にみなさんへメッセージをお願いします。
- すず塩田村 石田さん
- 販売や塩づくり体験など徐々に営業を震災前に戻していきますので、ぜひ足を運んでいただき、今の姿を見ていただければと思います。道が本格復旧していないため、まだ少し不便な部分もありますが、温かいご支援とご理解をお願い申し上げます。
珠洲市で今いける観光施設
珠洲市内で今いける観光施設を紹介します。
なお、珠洲市はまだ震災から復旧・復興の途中です。
通常時と営業時間や状況が異なる場合がございます。
最新の営業状況や道路状況をご確認のうえ、住民の皆様へのご配慮をどうぞよろしくお願いいたします。
地震後は、生産量は大幅に減少したものの、珠洲市、学生やボランティアの皆様のご協力により塩作り自体は続けられていました。しかし、昨年9月の豪雨で塩田や塩炊き釜に泥が流れ込んでしまい、塩作りが完全に停止してしまったんです。