【今行ける能登】応援ツアー「のと鉄道 語り部列車」乗車と千里浜・氣多大社(ほっこく観光)に参加しました
2024年1月1日の「令和6年能登半島地震」により、石川県では能登地域を中心に大きな被害を受け、奥能登地域では9月21日に豪雨災害もありました。
この記事は、復旧・復興へ一歩ずつ歩みを進める被災地に心を寄せ続け、「今行ける能登」を訪ねることで応援する「ほっこく観光」の日帰りツアーに参加した体験レポートです。「のと鉄道 語り部列車」に乗車して語り部から震災体験談を聞き、貸切バスで千里浜なぎさドライブウェイなどを訪れ、氣多大社で能登の復興を祈願する「千里浜・氣多大社」コースをご紹介します。
「千里浜・氣多大社」コースの日程
コース日程
<金沢駅から列車移動>
7:10 金沢駅に集合(IRいしかわ鉄道 改札前)
7:40 金沢駅発(IRいしかわ鉄道・JR七尾線)
9:16 七尾駅着(JR七尾線)
<七尾駅から列車移動>
10:04 七尾駅発(のと鉄道)
語り部列車で震災体験と能登の今を知る
10:48 穴水駅着(のと鉄道)
四季彩々でお買い物
<穴水駅から貸切バス移動>
11:00 穴水駅発(貸切バス:恋路観光)
バスの車窓から復興の歩みに触れる
<羽咋市で昼食・買い物・神社参拝>
12:15 能登千里浜レストハウス着
昼食とお買い物
13:20 能登千里浜レストハウス発
13:30 氣多大社 着
昇殿参拝して能登の復興祈願
14:20 氣多大社 発
<貸切バスで金沢へ移動>
14:30 千里浜なぎさドライブウェイ
15:30 金沢駅西広場団体バス乗降場 着
在来線を乗り継いで金沢駅から穴水駅へ!
金沢駅 IRいしかわ鉄道の改札前に集合
7:10に「金沢駅」の「IRいしかわ鉄道」改札前で、オレンジ色の旗をもった「ほっこく観光」添乗員さんが迎えてくれます。まずここで受付をして切符を受け取ります。
IRいしかわ鉄道・JR七尾線に乗って七尾駅へ!
7:20に参加者全員が集合し、添乗員さんから説明を聞いてから、改札を通過して列車に乗り込みます。「金沢駅」から「七尾駅」まで「IRいしかわ鉄道」「JR七尾線」を乗り換えなしの1本で行けます。
能登地域に入ると車窓にはのどかな田園風景が広がり、所どころで地震の影響が垣間見えるようになってきます。
JR七尾線 七尾駅に到着
終点の「JR七尾駅」に到着。ここで再び集合・点呼し、切符を持って改札を出ます。
「語り部列車」で震災体験と能登の今を知る
のと鉄道「語り部列車」に乗って七尾駅から穴水駅へ
次に乗る「のと鉄道 語り部列車」の出発まで少し余裕があり、トイレ休憩や飲み物を購入する時間がありました。再び集合し、JRの改札のすぐ隣にある「のと鉄道」の乗り場へ進みます。
「語り部列車」は、能登地域の基幹交通としての役割を担う「のと鉄道」が、地震の風化防止や災害の教訓を伝えるため9月16日から運行を開始した企画列車で、地震前に走らせていた観光列車の乗務員3名が「語り部」となり、能登に何が起き、人々がいま何を思い、考え、生きているのか、穏やかな車窓からの風景とともに“能登の今”を伝えています。
ツアー参加者が乗り込んだのは、2両編成のうち団体の貸切になっていた後方車両。乗車するとパンフレットと沿線マップ、特別記念乗車証が配られました。パンフレットには各地の被災状況、能登の今などが紹介され、3名の語り部さんの震災体験なども掲載されています。
この日のメインの語り部は、地震発生時に「能登中島駅」で停車中の観光列車に乗務していた坂本藍さん。落ち着いた口調で語りかけ、ツアー参加者はお話に引き込まれていきました。
「私は揺れる中、手すりを掴みながらお客さまのもとに進み『大丈夫ですか、安心してください、頭を守ってください』と声をかけながら、窓のスクリーンを下ろして回りました。しばらくすると、外から『津波です、逃げてください』というアナウンスが聞こえてきて・・・」と、ちょうど「能登中島駅」に差し掛かるときに語られる地震発生時の体験談は、まるで自分がその場にいるような臨場感がありました。
車窓には「能登中島駅」と、津波から避難するため乗客を誘導した高台へ登る道も見えてきます。
車内では、語りに合わせて写真パネルでの説明も行われます。地震発生時に観光列車に乗務していた語り部の宮下左文さんが、乗客を避難誘導したこと、崩れて埋まったトンネルのこと、自身の体験談を話してくれました。
写真パネルでは地震で倒壊した家屋、津波で浸水した地域、隆起した海岸などが紹介されるほか、震災後も規模を縮小しながら復興を願って実施された能登の祭り、白米千枚田の田植えなど、能登が誇る美しい風景や文化も伝えられ、胸がジーンとしました。
語り部さんのお話を聴き、車窓の風景を眺めていると、約40分の列車の旅はあっという間。終点の「穴水駅」へと到着です。
のと鉄道 穴水駅に到着
「穴水駅」のスタッフの皆さんが横断幕を持って迎えてくれました。列車を降りてから、語り部の宮下左文さん、坂本藍さん、牛上智子さんと記念撮影。「語り部列車」の旅は、防災の大切さや被災地の現状について、自分ごととして考えるよい機会になりました。
のと鉄道
[所]石川県鳳珠郡穴水町字大町チ24-2
TEL 0768-52-0900(のと鉄道旅行センター)
※「語り部列車」は旅行会社・団体の予約運行のみで、個人向けの販売はされていません
穴水駅に隣接する「四季彩々」でお買い物
奥能登のお土産をショッピング
「穴水駅」を出て向かって右手にあるお土産店「四季彩々」に立ち寄りました。能登半島の先端「奥能登」エリアを中心としたお土産品が揃い、これから行く「口能登」と呼ばれる能登半島の付け根にある羽咋(はくい)のお土産店とは違った品々が並びます。お菓子や調味料、お酒、輪島塗、のと鉄道グッズなど、ここでしか買えないお土産が購入できます。
穴水町物産館 四季彩々
[所]石川県鳳珠郡穴水町大町チの41-6
TEL 0768-52-3333
[営]9:00-17:30(当面の間)
[休]年中無休
穴水駅から貸切バスで羽咋方面へ
貸切バス(恋路観光)に乗って出発
貸切バスに乗り換えて、次の目的地「千里浜」「氣多大社」がある羽咋市へ向かいます。乗車したのは能登町に本社がある「恋路観光」のバスで、席は指定席になっています。グループ参加の場合は隣同士や近くの席になります。
海沿いの道は先ほど乗っていた「のと鉄道」と並行して走り、すぐ横を列車が通過する姿も見られます。
途中、穴水町の海辺のビュースポット「ボラ待ちやぐら」のそばも通ります。「ボラ待ちやぐら」は、江戸時代から伝わる日本最古の漁法で、観光用に復元されたものが沿岸に点在しています。道路の陥没、屋根瓦が落ちた家、崩れた建物など、道中には震災の爪痕がいくつも見られますが、この「ボラ待ちやぐら」は震災に耐えて以前の姿を留めていました。
千里浜名物のランチと渚のドライブウェイ
能登千里浜レストハウスで昼食とお買い物
砂浜を車で走れる石川県有数の観光スポット「千里浜なぎさドライブウェイ」の終点にある「能登千里浜レストハウス」へ到着。2021年にリニューアルし、レストランや土産店に加えて、カフェやコワーキングスペースも新たにオープンした人気スポットです。砂浜に面した広いウッドデッキからは日本海を一望できます。
昼食は館内にある「浜焼き能登風土 千里浜店」で「千里浜定食」をいただきました。千里浜名物「貝めし」と、白身魚のフライ、煮物、小鉢、お吸い物と香の物がセットになっていてボリュームも満点。「貝めし」は、貝の形をした人の顔ほどもある大きな器に盛り付けられ、蓋を開けるとほんのり磯の香りが漂い、アサリを炊き込んだごはんは旨み・甘みが詰まっていました。
昼食は旅行代金に含まれていますが、お料理に合わせてビールを飲みたい!となれば別途料金で飲み物などを注文することもできます。和気藹々とした雰囲気が各テーブルに漂い、楽しいランチとなりました。
出発までの自由時間は、思い思いに楽しんで
食後は自由時間。館内のお店でお土産を購入したり、ソフトクリームやイカ焼きを食べたり、カフェで海を眺めながら食後のコーヒーを楽しむこともできます。お土産コーナーには海産物や野菜、お菓子、いしる(魚醤)や塩、輪島塗や七尾の和ろうそくなど、能登ならではの品が並んでいました。
建物の外へ出て散策を楽しむのも素敵です。千里浜は砂を利用した「千里浜砂像」も有名で、千里浜砂像協会や地元学生などが制作した3メートルを超える巨大な砂像を、駐車場の奥にある海に面した展示場で見ることができます。
この日は前日までの天気の影響で、残念ながら「千里浜なぎさドライブウェイ」はバスで走行できませんでしたが、レストハウスから歩いて砂浜に下りることができたので、キラキラと輝く波打ち際をお散歩してきました。12月まで開催される今後のツアーでは、コンディションがよければ、日本で唯一の車で走れる「千里浜なぎさドライブウェイ」の醍醐味が体感できるはずです。
能登千里浜レストハウス
[所]石川県羽咋市千里浜町タ4-1
TEL 0767-22-2141
[営]
浜焼き能登風土/千里浜店 11:00〜16:00(15:30LO)
お土産コーナー/10:00〜17:00
SSTRカフェ/[4~9月]10:00〜18:00(17:30LO)、土・日曜・祝日10:00〜18:30(18:00LO)
[10月~3月]10:00〜17:30(17:00LO)
コワーキングベース千里浜/7:00〜23:00
[休]年中無休
能登國一宮 氣多大社で復興祈願!
昇殿参拝で能登の復興を祈願
千里浜から約10分ほどで旅の最終目的地である能登國一宮「氣多大社」に到着。「氣多大社」は奈良に都があった時代から北陸の大社として朝廷からの尊崇も厚く、歴代の領主からも手厚く保護されてきた由緒ある神社です。その社名から「氣(き)」が多く集まる神社といわれ、御祭神の大己貴命(オオナムチノミコト/大国主命の青年期の名)は縁結びの神様であることから、縁結びスポットとしても有名です。
能登半島地震が発生した1月1日の夕方、境内は多くの初詣客で賑わっていたものの、幸い、建物の倒壊や人的被害はありませんでした。国指定重要文化財の本殿、若宮神社、白山神社の三棟は少なからず損傷を受け、修復や耐震補強などが必要とのことですが、以前のように参拝することができます。
「氣多大社」では、地震発生以降は毎朝、能登半島地震が鎮まり、能登に平穏な暮らしが戻ることと、復旧・復興に携わる人々の安全を願う祈願を行っているそうです。
参加者の中には「毎年、初詣に来ていたけれど、今年は地震が起きて参拝できていなかった」という方もいて、「氣多大社」の参拝を目的にツアーに参加したという声も。今回は拝殿に上って御祈祷を受ける昇殿参拝で、しっかりと能登の復興を願ってお参りすることができました。
参拝後は本殿、若宮神社、白山神社をお参りし、普段は宮司以外は立ち入り禁止とされる「入らずの森」の入口で神職の方からお話を聞き、参拝記念に「氣」と書かれた縁起物をいただきました。参加者の皆さんは境内の授与所で御朱印やお守りなどを買い求め、手にされていました。
能登國一宮 氣多大社
金沢駅に帰着してツアー終了
金沢駅西広場団体バス乗降場で解散
「氣多大社」を後にして、バスは「のと里山海道」を通って金沢へと向かいます。今後のツアーでは「千里浜なぎさドラウブウェイ」が走行可能な日であれば、全長8kmの砂浜ドライブウェイのドライブも楽しめる予定です。
「金沢駅」の到着は15:30頃、往路は在来線の改札集合でしたが、帰路は貸切バスなので「金沢駅」の西口にある団体バス乗降場に帰着して解散でした。「のと鉄道」の語り部さんとの会話・交流や、「氣多大社」での復興祈願を通して、今後も能登のことをいろいろな形で応援していきたいと思った旅になりました。
ツアー参加者の声
震災直後は鉄道も運休し、陸路も通行止めや復旧優先のための交通規制がありましたが、道路の復旧が進んで一般車も自由に行き来できるようになった今も、震災後に能登を初めて訪問する方には、今回のような旅行社が企画するツアーがおすすめです。実際に参加された方からは、被災地を実際に見ることができ、よい機会になったなどの声をたくさんいただきました。
- 参加者Aさん
- 震災後の能登の様子がとても気になっていましたが、行っていいものか、自分で車を運転して行けるだろうかと迷いがありました。旅行会社のツアーなら安心して参加でき、お買い物などを通して応援ができると思い参加しました。
- 参加者Bさん
- 「今行ける能登」ツアーの募集を見てすぐに申し込みました。コースがいくつかありましたが、「氣多大社」を参拝する内容に惹かれて選びました。お正月に行けなかった初詣がようやく叶いました。
- 参加者Cさん
- 「語り部列車」の震災体験談は、地震発生時の津波からの避難、その後の避難生活のお話なども詳しく話してくださり、地震の怖さとご苦労を感じました。これからも自分のできることで、能登を応援していきたいと思いました。
現地からの声
- のと鉄道 語り部 坂本藍さん
- 私自身の体験談はもちろん、各地での被災状況も丁寧に伝えていけたらと思っています。震災以降、悲しい思いもたくさんしましたが、人の温かさや能登の自然のおかげで元気を取り戻すことができました。私たちのお話を通して、能登の魅力もあらためて感じていただければうれしいです。
- 氣多大社 神職
- 「氣多大社」では、地震で深刻な被害があった能登に平穏な暮らしが戻ること、復旧・復興に携わる人々の安全を願い、毎朝心をこめて祈願しています。社殿の一部損傷もありましたがご参拝いただけますし、拝殿でのご祈願も受け付けています。ぜひお参りください。
まとめ
今回は、がんばろう能登「今行ける能登」応援ツアー(ほっこく観光)を紹介しました。
この応援ツアーは9〜12月にかけて現在3コースの予約を受け付けています。
被災地の観光施設、飲食店や商店、鉄道・バス会社などにとって、
多くの方にお越しいただくことが早期復興につながります。
ぜひ、最新の情報をご確認いただき「今行ける能登」へお越しいただければと思います。
【ご予約受付中】がんばろう能登「今行ける能登」応援ツアー第2弾
「ほっこく観光」では、がんばろう能登「今行ける能登」応援ツアー第2弾と題して、来年3月まで以下のA・B・C・Dコースの日帰り応援ツアーを企画し、ご予約を受け付けています。ぜひツアーに参加して、みんなで能登を応援しましょう。
「今行ける能登」4つのツアー
【A】〔内浦コ―ス〕氣多大社復興祈願 穴水かき炭火焼き 和倉温泉お祭り会館 職員が祭り文化をご紹介
出発日:2025年1月19日(日)、1月25日(土)、2月16日(日)、2月22日(土)
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
詳細・ご予約はこちら≫http://www.hokkokukanko.co.jp/detail.html?contents_cd=4422
【B】〔語り部列車コ―ス〕のと鉄道 震災語り部列車利用 輪島の朝市とのと里山空港
出発日:2025年1月24日(金)、2月1日(土)、2月15日(土)、2月21日(金)、3月9日(日)
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
詳細・ご予約はこちら≫http://www.hokkokukanko.co.jp/detail.html?contents_cd=4423
【C】〔外浦コ―ス〕震災遺構のジオパーク化をめざす 鹿磯 黒島海岸と富来復興商店街 大本山總持寺祖院僧侶ご案内
出発日:2月23日(日)、3月2日(日)、3月14日(金)、3月20日(木)
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
詳細・ご予約はこちら≫http://www.hokkokukanko.co.jp/detail.html?contents_cd=4424
【D】〔奥能登コ―ス〕島影変わる珠洲 見附島と奥能登国際芸術祭屋外作品鑑賞 珠洲市職員の見附島・見付海岸ご案内
出発日:2025年3月8日(土)、3月15日(土)、3月22日(土)、3月29日(土)
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
詳細・ご予約はこちら≫http://www.hokkokukanko.co.jp/detail.html?contents_cd=4425
【旅行企画・実施】ほっこく観光(石川県金沢市南町2-1)
【予約・お問合せ】本社ツアーセンター TEL 076-263-3565 / 小松支店 TEL 0761-21-0300