【今行ける能登】応援ツアー:奥能登コース「島影変わる見附島と奥能登国際芸術祭の屋外作品鑑賞」(ほっこく観光)に参加しました
2024年1月1日の「令和6年能登半島地震」、9月21日の「奥能登豪雨」によって石川県では能登地域を中心に大きな被害を受けました。この記事は、復旧・復興へ歩みを進める被災地に心を寄せ続け、「今行ける能登」を訪ねることで応援する「ほっこく観光」の日帰りツアーに参加した体験レポートです。
「今行ける能登」応援ツアーの第2弾として、2025年1〜3月に4コース・計17回のツアーが企画され、今回の奥能登コースは貸切バスを利用し、珠洲市の奥能登国際芸術祭の屋外常設作品、道の駅 すずなり、見附島などを巡ります。

奥能登コースの日程
コース日程
貸切バス(中日本ツアーバス)集合・出発地
7:20 中日本ツアーバス駐車場(金沢市御供田町)集合
7:50 金沢駅西口(金沢駅西広場団体バス乗降場)集合
8:30道の駅 高松(のと里山海道 下り線 駐車場)集合
↓ 貸切バス移動
9:00 西山PA(休憩/のと里山海道 下り)
10:00 のと里山空港(休憩)
↓ 貸切バス移動
珠洲市内着
11:15 作品鑑賞「家のささやき」(現地ガイドによる案内)
11:35 作品鑑賞「Something Else is Possible/なにか他にできる」
12:10 道の駅 すずなり(休憩・お買い物)
13:00 見附島(休憩・お弁当の昼食、現地ガイドによる案内)
↓ 貸切バス移動
15:35 西山PA(休憩・お買い物/のと里山海道 上り)
↓ 貸切バス移動
貸切バス(中日本ツアーバス)下車地
16:50 道の駅 高松(のと里山海道 上り線 駐車場)休憩、下車・解散
17:30 金沢駅西口(金沢駅西広場団体バス乗降場)下車・解散
17:00 中日本ツアーバス駐車場 下車・解散
がんばろう能登!今行ける能登応援ツアーへ貸切バスで出発!
3つの集合場所から貸切バスに乗車して出発
応援ツアー第2弾もいよいよ終盤、3月8日に催行された「奥能登コース」第1回目ですべてのコースが出揃いました。このコースは能登半島の最北端にある珠洲市で、「さいはての芸術祭」の愛称でも知られる「奥能登国際芸術祭」の屋外常設作品や見附島などを訪れ、被災地の今を見て感じると共に、お買い物などを通して応援する内容です。
乗車・下車地は3ヶ所から選べ、「金沢駅」の西口(金沢港口)にある「金沢駅西広場団体バス乗降場」から36名、「のと里山海道」の高松サービスエリア(道の駅 高松 駐車場)から7名が乗車。何とこの日の参加者は43名で大型バスが満席でした!
石川県内だけでなく、富山県から参加された方もいらっしゃり、別コースの応援ツアーにも参加したリピーターさんも複数人いらっしゃいました。
車窓の景色に能登の今を感じる
能登の里山里海と復旧・復興の歩み
道路の復旧が進み、以前とほぼ変わらない時間で行けるようになったとはいえ、金沢市から珠洲市までは片道約2時間半。その道のりを自力で行こうと思うとハードルが高いけれど、「バスツアーならお任せで連れて行ってもらえる」「ずっと珠洲のことが気になっていた」と、この奥能登コースを待ち望んでいたという声が多数聞かれました。
高松SAを出発後、のと里山海道の西山PAで少し休憩し、徳田大津ICからは一般道を利用しました。七尾市の田鶴浜から中島、穴水町を通過する際は、道路沿いのブルーシートで覆われた屋根、倒壊した家屋や納屋、解体が済んで空き地になった土地、いくつもの仮設住宅団地など、地震発生から1年2ヶ月を経た現在進行形の能登の様子が目に入ってきました。
「どうして里山海道ではなく、街中を走行するの?」と質問された方がいました。のと里山海道は2024年元日の地震で被災し通行できなくなりましたが、迂回路を作るなどの復旧工事が行われ、現在は上下線とも全線が開通しスムーズに往来できるようになっています。しかし、今回のような大型バスでは、崩落部分に作られたアップダウンの激しい迂回路は走行が難しいことから一般道を利用しているのだと説明がありました。
このとき通行した国道249号は、震災後の緊急車両や災害地支援の車が奥能登へ向かう主要道として活躍したことも知ることができました。また、海沿いを通るので景色がよくバスツアーにはぴったりで、震災の傷跡を見ると心が痛みましたが、牡蠣棚が浮かぶ七尾湾や穴水湾の景色には変わらぬ自然の美しさと逞しさも感じられました。
のと里山空港で休憩とお買い物
珠洲まで残り1時間の休憩スポット
穴水町から珠洲方面への道に入り、「のと里山空港IC」の出入口を通過。大型車でなければ、のと里山海道でここまで来ることもできると説明があり、ICから5分少々で能登の空の玄関口「のと里山空港(能登空港)」に到着しました。
空港で15分ほどの休憩時間があり、お手洗いを済ませるほか、空港ターミナル内の売店でお買い物をすることもできました。
2階の売店「セレンディピティ」は能登各地のお土産品が色々と揃い、1階の売店「つくし」ではソフトクリームやお菓子類など、バス内でのおやつや飲み物の購入ができます。
3階の展望デッキへ行くと、到着したばかりの午前便を見ることができました。のと里山空港は、地震の発生直後は滑走路に亀裂や段差が生じて飛行機が離発着できない状態でしたが、応急的な復旧工事が終わると自衛隊の輸送機の発着に利用され、ANA(全日空)の能登-羽田便の運行が臨時便、定期便と段階的に回復し、昨年の12月下旬から震災前と同じ1日2往復で運行が復活しています。
のと里山空港
[所]石川県輪島市三井町洲衛10-11-1
TEL 0768-26-2000
[営]8:30~17:30
レストランあんのん 9:00~14:00
売店 セレンディピティ 9:00~14:00
売店 つくし 9:00~17:00
[休]年中無休
奥能登国際芸術祭のアート作品を鑑賞
アートを楽しめる気持ちが復興の第一歩
貸切バスは珠洲市内へと入り、車窓には能登半島地震で被害のあった建物のほか、9月に発生した奥能登豪雨の痕跡も見られ、更地になった住宅地や、今も残る流木や土砂が爪痕の深さを物語っていました。
最初の訪問地である珠洲市の鉢ヶ崎海岸に到着すると、「奥能登国際芸術祭実行委員会」の水上昌子さんが「奥能登国際芸術祭」のことや、能登半島地震の被災状況について説明してくれました。奥能登国際芸術祭の作品鑑賞のツアーが行われたのは、震災後この日が初めてとのこと!
珠洲市では倒壊家屋の解体が進み、店舗の営業再開、生業の再建も始まっていますが、こうしたアートを活かした本格的な観光が再開されることは、震災前の能登の主要産業であった観光の復興・再建の第一歩になるのだと感じられ、そんなツアーに参加できたことを嬉しく思いました。
まずは、海岸にある台湾のラグジュアリー・ロジコが制作した「家のささやき」を解説付きで鑑賞。瓦を通して「記憶」「家」「人口」「産業」など、素材と地域問題の関連性を取り上げた作品で、風が吹くと瓦がゆらゆら揺れるつくりになっています。
珠洲は珪藻土を使った能登瓦の産地でしたが、今では生産者が途絶えていること、地震で家屋の屋根瓦の多くが割れてしまったことなどを考えると、作家が「家というものを記憶を集めるエネルギーの象徴」ととらえ、「集まることは力になる」をコンセプトに、昔の記憶を掘り起こしていくことをテーマにしたというのが、震災を経てより意味深いものに感じられました。
バスで5分ほど移動して、ドイツの作家トビアス・レーベルガーが製作した「Something Else is Possible/なにか他にできる」も鑑賞しました。この作品は2017年の第1回目の芸術祭で旧蛸島駅のそばにつくられ、以降も屋外常設展示として人気です。
「のと鉄道」能登線が2005年に廃線になり、蛸島駅も廃駅となりました。作家は「終着点を地域の再生と未来を望むような場所に」という思いで作品を構想したそう。道路で断ち切られた線路跡に、駅に向かってカラフルな渦巻くフレームが設置され、その中にある双眼鏡を覗くと、線路の終点の横に「Something Else is Possible」という作家からのメッセージが見えます。「なにか他にできる」というメッセージも、復興に向けて大切な想いを投げかけているように思えました。
線路を歩いて終点まで行くのもアートな体験です。駅のホームには1冊のノートがあり、訪れた人が書き込んだメッセージを読むことができました。2024年の元日に書き込まれたものや、災害ボランティアで訪れた方のメッセージもありました。応援ツアーで訪れた記念にメッセージを残していくのもいいですね。
奥能登国際芸術祭
奥能登国際芸術祭実行委員会事務局
TEL 0768-82-7716(珠洲市芸術文化創造室)
(8:30〜17:00/土・日曜日、祝日は除く)
道の駅 すずなりで買って応援、食べて応援!
ランチはすずキッチンのお弁当
アート鑑賞の後は「道の駅 すずなり」でお買い物タイム。「のと鉄道」能登線の旧珠洲駅の跡地に建てられた道の駅で、珠洲の特産品の販売ショップと観光案内所が入った「すずなり館」があり、旧珠洲駅のホームや線路も保存されています。
道の駅は地震の影響で震災直後は休業していましたが、2024年4月末から営業を再開し、今では市内で事業を再開した生産者も増えて品揃えも充実しています。
珠洲の特産品である塩、天然の岩海苔、わかめ、和菓子や洋菓子、日本酒や焼酎などの食品類のほか、工芸品、Tシャツやバッグなどのグッズ類も色々と並んでいました。「買って応援、食べて応援」と、ショッピングを楽しみにしていた参加者の方も多く、たくさんお土産品を買い求めていらっしゃいました。
すずなり館の隣には、震災で営業できなくなった飲食店4店が営む仮設店舗「すずキッチン」「すずなり食堂」があり、昼食は「すずキッチン」のお弁当がバスに積み込まれ飲み物と一緒に配られました。
道の駅 すずなり
道の駅 すずなり
石川県珠洲市野々江町シの部15
TEL 0768-82-4688
[営]10:00-16:00
[休]水曜
すずキッチン・すずなり食堂
珠洲市野々江町シの部15-1
TEL 0768-84-5100
すずキッチン
[営] 5:00-15:00 [休]日曜
すずなり食堂
[営]11:00-14:00、17:30-21:00(夜は木・金・土曜のみ)[休]なし
能登のシンボル見附島
姿を変えても、変わらぬ心のよりどころ
「道の駅 すずなり」で約40分の滞在後、貸切バスは「見附島」へと向かいました。駐車場へ到着すると、30分ほどのランチタイムが取られ、「すずキッチン」のお弁当をいただきました。お弁当はバスの中で食べることも、周辺を散策しながら海辺で食べることもできました。
13:30からは、珠洲市役所の川角優子さんによる解説ガイドがありました。能登を代表する景色、シンボルのイメージがある見附島は、弘法大師(空海)が布教のために、佐渡から能登へと渡る際に発見したといわれている島で、「見つけた」というのが名前の由来とのこと。
先端部分が突き出た見た目から、別名「軍艦島」とも呼ばれてきましたが、2022年、2023年の地震で一部が崩落し、2024年元日の能登半島地震で大きく崩れ落ち、船首と船尾に当たる部分の土砂が周辺に積み重なっていました。能登の観光名所として親しまれてきた見附島の変貌はショッキングでしたが、川角さんが市内の被災状況と復旧の進捗なども紹介してくれました。
「見附島の周辺は市内でも被害が大きかったエリアです。道路はこんな風に崩れ、マンホールも浮き上がり・・・」と写真や地図なども交えた説明はとてもわかりやすく、公園内にある「見附茶屋」の建物の前では津波による被害も聞くことができました。
また、「今では能登半島の先端にある狼煙の禄剛埼灯台なども行くことができます」など、今行ける観光情報も知ることができ、次は能登半島の先端部分まで行ってみたい、行ってみようと思いました。
見附島
石川県珠洲市宝立町鵜飼
TEL 0768-82-7776(珠洲市観光交流課)
西山パーキングエリアで休憩とお買い物
帰路の最後の立ち寄りスポット
見附島でガイド付きの見学を終えて帰路につきました。帰り道も貸切バスは珠洲道路、海沿いの国道249号などを通り、七尾市からのと里山海道に入り、志賀町の西山パーキングエリアで15分ほど休憩しました。
西山PAでは志賀町の特産品や食品を中心に、近隣の市町のお土産品が購入できます。店内にある鮮魚店も人気で、夕食用にお刺身や惣菜を購入している参加者の方も。最後の休憩とお買い物を終えて、再び帰路につきました。
西山パーキングエリア
石川県羽咋郡志賀町倉垣ネ6-4
TEL 0767-36-1238
[営]生産物直売所9:00-18:00、トイレ24時間
[休]なし
朝の集合地へ戻って下車・解散
高松パーキングエリアと金沢駅へ
西山パーキングエリアの次は、のと里山海道の高松パーキングエリアで停車して下車する方達とお別れし、バスはそのまま金沢駅西口バス乗降場に向かい、到着したのは予定スケジュールより少し早い17:00頃でした。
2023年にも珠洲市を震源とした大きな地震があり、それから1年を経ず2024年元日に発生した巨大な能登半島地震、そして9月の奥能登豪雨と次々と災害に見舞われた珠洲市。「珠洲市がずっと気がかりだった」という方も多く、大変な被害がありながらも前進している様子や観光も始まっていることを確認できる機会になりました。
今回参加したツアーが、奥能登国際芸術祭の作品鑑賞を組み込んだ震災後初めての正式ツアーだったというのも感慨深いものがありました。思いを寄せ、また訪れることが、復旧・復興の応援になればと感じた旅でした。
ツアー参加者の声
団体ツアーには、個人旅行ではできない特別な体験や解説などの魅力があります。震災後に初めて能登を訪れた方も、そうでない方も、参加された方からは被災地を実際に見ることができ、よい機会になったなどの声をたくさんいただきました。
- 参加者Aさん
- 能登半島地震で被災された地域のことはいつも気にしていましたが、特に珠洲市のことは気がかりでした。なかなか訪れることができませんでしたが、バスツアーを企画していただいたことでようやく訪問できました。アート作品や見附島の解説が聞けたのもよかったです。
- 参加者Bさん
- 奥能登国際芸術祭の作品の鑑賞ができたのがよかったです。今回、見学した2つの作品は被害がなかったと聞きほっとしました。他の作品も見ることができる機会があるといいな、すぐには難しくても、また芸術祭が開催されるといいなと思いました。
- 参加者Cさん
- 「道の駅 すずなり」で色々お買い物ができ、少しでも応援につながっていると嬉しいですね。仮設店舗の「すずなり食堂」「すずキッチン」も気になっていました。お弁当が美味しかったので、次はぜひ食堂でもお食事をしてみたいと思いました。
現地からの声
- 奥能登国際芸術祭実行委員会 水上昌子さん
- 地震、豪雨の被害が大きかった珠洲市ですが、震災後初めて、芸術祭の作品を鑑賞していただくツアーをお迎えすることができました。今回は被害がほぼなかった2つの屋外作品を見ていただきましたが、今後もアートが観光事業の復興や後押しにつながればと思います。
- 珠洲市観光交流課 川角優子さん
- 地震で崩落した見附島の前で、能登半島地震から今までの珠洲市の状況もお話しさせていただきました。見附島の周辺は地震による被害が大きく、津波の被害もあった地域ですが、こうして訪れていただけたことが復興の一歩になると思います。半島の先端部までバスで行けるようになっていますので、ぜひ次は禄剛埼灯台なども訪れてみてください。
がんばろう能登「今行ける能登」応援ツアー第2弾
「ほっこく観光」では、がんばろう能登「今行ける能登」応援ツアー第2弾と題して、2025年1月から3月にかけて以下のA・B・C・Dコースの日帰り応援ツアーを企画しました。
第2弾の4コース
【A】〔内浦コース〕氣多大社復興祈願 穴水かき炭火焼き 和倉温泉お祭り会館職員が祭り文化をご紹介 出発日:2025年1月19日(日)、1月25日(土)、2月16日(日)、2月22日(土) ※受付終了
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
ツアーレポート≫https://www.hot-ishikawa.jp/feature/detail_379.html
【B】〔語り部列車コース〕のと鉄道 震災語り部列車利用 輪島の朝市とのと里山空港
出発日:2025年1月24日(金)、2月1日(土)、2月15日(土)、2月21日(金)、3月9日(日) ※受付終了
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
ツアーレポート≫https://www.hot-ishikawa.jp/feature/detail_382.html
【C】〔外浦コース〕震災遺構のジオパーク化をめざす 鹿磯・黒島海岸と富来復興商店街 大本山總持寺祖院僧侶ご案内
出発日:2月23日(日)、3月2日(日)、3月14日(金)、3月20日(木) ※受付終了
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
ツアーレポート≫https://www.hot-ishikawa.jp/feature/detail_390.html
【D】〔奥能登コース〕島影変わる珠洲 見附島と奥能登国際芸術祭屋外作品鑑賞 珠洲市職員の見附島・見付海岸ご案内
出発日:2025年3月8日(土)、3月15日(土)、3月22日(土)、3月29日(土) ※受付終了
旅行代金:大人9,800円、こども8,800円(昼食付き)
ツアーレポート≫https://www.hot-ishikawa.jp/feature/detail_392.html
【旅行企画・実施】ほっこく観光(石川県金沢市南町2-1)
【予約・お問合せ】本社ツアーセンター TEL 076-263-3565 / 小松支店 TEL 0761-21-0300