旬の食旅〈冬編〉
暖流と寒流とが行き交う外海、天然の生簀とも呼ばれる内海。2つの異なる海を持つ半島が能登です。至るところに漁港があって、穫れたばかりの魚介類がとびきり新鮮な状態で食卓に並びます。食の聖地と謳われる所以はここにあります。とりわけ冬は、カニ、牡蠣、寒ブリ 、甘エビなどが旬を迎え、美食家には堪らない季節です。
加能ガニ(輪島市、珠洲市、志賀町)
【旬:11月〜2月】
9cm以上の雄のズワイガニで、漁師が品質に自信を持てるものにだけ、漁港名が刻印された青タグ付きで市場へ出されるのが「加能ガニ」です。能登の冬ならではのカニ料理はさまざま。素材を活かしたカニ刺しはもちろんのこと、炭火焼も贅沢な逸品です。香ばしさの中に甘みがギュッと凝縮されて、カニ味噌をちょっと乗せれば風味もコクも一層増します。他にもカニ鍋、カニ飯、茶碗蒸しなどバリエーションも豊富です。 能登半島の加能ガニの水揚漁港は、富来漁港、輪島港、蛸島漁港等で、主に底曳き網漁で水揚げされます。漁期は11月6日から3月20日まで。
牡蠣(穴水町、七尾市)
【旬:11月〜5月】
内海に面し、複雑な地形をした七尾湾と穴水湾には幾つもの入り江があり、至るところに牡蠣棚が浮かんでいます。ホタテの原盤を使い、勘と経験と自然の恵みに頼りながら、その産卵から携わって美味しい牡蠣を育てているのです。能登で食べる牡蠣は、その殆どが客が自ら炭火に乗せて焼いていくのが昔からのスタイルを基本に、牡蠣づくしのコースを堪能したりします。
旬の時期は七尾産が寒さがピークの1月〜2月。一方で穴水産は実入りが遅く、桜の咲く季節の前後が旬となります。
Column
冬の陣・かきまつり
例年、穴水町で開催される食のイベントです。穴水町の参画店舗にて、能登の牡蠣を利用したお食事を提供。期間中はオリジナル牡蠣メニューや牡蠣のコース料理が堪能できます。また特別イベントとして「雪中ジャンボかきまつり」が開催され、炭火コーナーで美味しい牡蠣を味わうことが出来ます。詳しくは下記ホームページにてご確認ください。
寒ぶり(能登町、七尾市)
【旬:12月〜 2月】
春の産卵に向けて栄養を蓄えたブリは、日本海の荒波を避けて内海へとやって来ます。陸からも見える巨大な定置網がその通り道に仕掛けられ、掛かったブリが能登町と七尾市の港で水揚げされるのです。荒波に揉まれた身は引き締まり、脂もたっぷり蓄えた寒ブリは、もはや誰もが認める能登のブランド。刺し身で食べるのが一番のオススメですが、アラを大根と一緒に煮たブリ大根や、頭をまるごと塩焼きにした寒ブリも大人気です。
Column
のと寒ぶりまつり
例年1月中旬に開催される能登町の食のイベントです。冬の味覚「寒ぶり」を存分に味わうことができ、寒ぶりの解体のほか、ぶり料理や能登丼、お寿司、地元の水産加工品、農産物などの逸品が大集合する「グルメテント村」も設営されます。詳しくは下記ホームページにてご確認ください。
甘エビ(志賀町、輪島市、珠洲市)
【旬:12月〜4月】
甘エビは、能登半島沖合の深い海底に生息します。能登では富来漁港、輪島港、蛸島漁港から出漁し、底曳網漁が解禁される9月になると、石川県では一斉に甘エビのニュースが飛び交うほどに人気です。志賀町の富来漁港ではカゴ漁で甘エビを獲り、生きたままの状態で食卓へ届ける取り組みが注目を集めています。焼いても揚げても蒸しても美味しいのが甘エビです。ただオススメ は、自分の手で殻をむいて生のままつるりと吸い込むのが一番です。 プリプリした食感 と、とろけるような甘みこそ、甘エビの魅力です。
ころ柿(志賀町)
【旬:12月〜2月】
ころ柿の里と呼ばれる志賀町。11月から12月にかけて、農家の納屋の2階にはオレンジ色の柿が吊るされている様子が風物詩となっています。もともと渋柿が自生する土地だったため、ころ柿づくりが盛んに行われるようになりました。ころ柿づくりは、柿の皮剥きから始まり、糸くくり、乾燥に至るまで、すべてが手作業。渋柿を竿に吊るして約1カ月の後、優しい甘さと上品な風味が人気のころ柿が市場に出回ります。完成したころ柿は、待ちわびたファンが買い求め、さらには高級贈答品として愛されています。