うっとりする建物やユニークな構造の橋など、山中温泉・鶴仙渓周辺の建築探訪&遊歩道散策

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ほっと石川旅ねっと体験ライターのmakiです。

私、実は建築学科を卒業していて、建築大好きなんです!!

今回は紅葉真っ盛りの加賀エリアで、歴史的建造物や構造が面白い橋など、山中温泉周辺の建築探訪をしてきました♪

うっとりする建物やユニークな構造の橋など、山中温泉・鶴仙渓周辺の建築探訪&遊歩道散策

総ひのき造りのアーチが美しい『こおろぎ橋』

まず訪れたのは総ひのき造りの「こおろぎ橋」です!
名前の由来は、かつては行路(こうろ)が極めて危なかったので「行路危」からこおろぎ橋と称されたという、ちょっとドキドキする説があります。
他にも秋の夜に鳴くこおろぎに由来するとの説もあり、実際のところは分かりません。
現在のこおろぎ橋は車も通れる頑丈な橋なので、「行路危」ではありませんよ☆

橋の姿は下からも見る事ができます。

アーチ型の総ひのき造りの橋は、辺りの自然ともなじみ、絵になりますよね。

季節ごとに魅力が変わりそう!

次は雪の時に来てみたいです。

基本情報

こおろぎ橋

[住所]石川県加賀市山中温泉こおろぎ町

[電話番号]0761-78-0330(山中温泉観光協会)

[駐車場]22台、大型車2台

明治末期の最高級建築とは!『無限庵』

こおろぎ橋から紅葉が綺麗な道を通り、徒歩1分ほどで今回の一番の目的地『無限庵』に到着。
無限庵は加賀藩前田家の家老(かろう)横山家の分家・横山章が石川県金沢市に建てた「書院造」の住宅をこの地に移築したもの。
石川県指定文化財に指定されており、明治末期の最高級の建築工事とも言われています。
なお、建物内には数々の古美術が展示されています。
「書院造」という言葉を聞いたのは、中学校の社会科の授業以来という方も多いのでは・・・?
書院造とは交渉や対面を主とする武士の生活に合わせて生まれた、書斎の機能を有した住宅形式のことなんです。

時が経つに連れ、武士の接客場所として重宝されるようになり、座敷の飾りが本来の書斎としての役割から、高価な仏具や意匠を凝らした違棚など、その家の主人の権威をあらわすものへと変化していきました。
「書院主室御殿」
無限庵を代表する部屋です。
和室ですが、照明器具など洋風な要素もある、明治時代ならではの華麗な雰囲気が漂っています。

部屋のあちらこちらに家主の権威をあらわす凝った意匠があったので、紹介していきます!
まず部屋に入ると手前に見えるのが、こちらの欄間(らんま)。
右に「雲間に月」、左に「枝を這わせた松樹」が施されています。

中央には大きな空白があり、こちらは部屋を広く見せるための工夫だそうです。
枠と彫刻の部分は一体で、大きな一枚板からつくられています。
細かく立体的な欄間彫刻はとても美しく、見惚れてしまいます♡
日本の伝統工芸の技術力の高さを感じます。
壁面は「張付壁(はりつけかべ)」という板に紙を貼った壁になっていて、
金粉で連山と雲が描かれています。
黄金に輝く姿は、高級感がすごかったです・・・!
床の間の右側にあるのが琵琶台。
正面の羽目板には美しい蒔絵が施されています。
こちらは伝統的な加賀蒔絵の手法を保持した最後の人と言われている大垣昌訓(おおがきしょうくん)の作品です。
廊下に出てみると、大きなガラスの窓が続いています。
こちらのガラスは「手延べガラス」と言って、職人が一枚一枚手作りしているため、ガラス面が少し歪んで見えるのが特徴です。現代のガラスの無機質な印象とは異なり、あたたかみを感じます。
部屋のあちらこちらにいる尾長鳥、「なんだろうこれ?可愛いな〜」と思っていたら実は釘隠しなのだとか。
ここまで気を使うなんて、素敵!
家主が鳥好きだったそうで、照明や欄間などあちらこちらに鳥が隠れているので、探してみると楽しいですよ。
その他にも、材料を集めるのに30年かかったという神代杉(じんだいすぎ)の天井や、加賀藩の家老以上の位の者しか使うことができなかった群青の壁、棚や高欄には1万本に1本しか見つからないと言われている黒柿を用いていたりと、家主の権威を感じることができました。

これだけ貴重な品々がそろっていると維持していくのも大変とお聞きしました。
こんなにすごい建物をこの目で見ることができたのがとても嬉しく、ありがたいなと思いました。
見学の後は、新館にあるカフェスペースでお抹茶とお菓子をいただくことができます。(入館料と合わせて1,000円)
自然を眺めながら、時間を忘れてゆっくり過ごすことができます。
木漏れ日がとても気持ちよかったです〜!
こちらでは他にもコーヒーやピザもいただくことができます。

無限庵では見るだけではなく、「実際に使ってみて空間のよさを感じてほしい」という思いから、「書院主室御殿」では茶懐石(1人15,000円、5名〜)や、2階のスペースでランチ(1人4,000円、4名〜)の提供を始めているそうです。

※予約は一週間前までに電話にて受付。


ぜひ、実際に明治時代の華麗な雰囲気を感じながら優雅な時間を過ごしに来てください〜♪

基本情報

無限庵

[住所]石川県加賀市山中温泉下谷町ロ6

[電話番号]0761-78-0160

[定休日]火曜、水曜(2023年4月以降)

     ※2月末まで休館中だが、予約の場合は開館。

[営業時間]11:00~15:00

[駐車場]40台

[入館料]一般500円(15名以上400円)、中高生200円、小学生100円


〈ガイド付き見学&お抹茶体験〉

[料金]1000円

 

 ››じゃらん遊び・体験予約はこちら

 ››無限庵公式サイトはこちら

川のせせらぎでリフレッシュ♪鶴仙渓散歩

無限庵から1分ほど歩くと、「鶴仙渓(かくせんけい)遊歩道」があります。
川沿いを散歩しながら、自然を感じることができます。
川のせせらぎを聞きながら深呼吸をすると、頭がスッキリします!
リラックスできました〜♪

華道家がデザインした『あやとりはし』

鶴仙渓遊歩道をゆっくり歩くと約30分ほどであやとりはしへ到着。
こちらの橋は、いけばな草月流家元・勅使河原宏(てしがわらひろし)氏が「鶴仙渓を活ける」というコンセプトでデザインしました。
他で見たことのない不思議な形・・・・。
名前の通り、あやとりで編んだような見た目の橋です。

橋を下から見るとS字になってるのがわかりますね。

S字なので歩いていると出口も入り口も見えなくなり、迷路のようなワクワク感がありました。

ちなみに建築的には「単純曲線三弦トラス」という構造でねじりに強い三角形がベースになっているんですよ。

橋からは鶴仙渓の美しい景色を眺めることができました!

基本情報

あやとりはし

[住所]石川県加賀市山中温泉河鹿町

[電話番号]0761-78-0330(山中温泉観光協会)

[駐車場]12台

松尾芭蕉が愛した山中温泉を学ぶ『芭蕉の館』

松尾芭蕉が「おくのほそ道」の紀行時、山中温泉を訪れた時に泊まった「泉屋」に隣接していた宿「扇屋」の別荘をリノベーションしたのが『芭蕉の館』。
この建物は明治時代に建てられた山中温泉最古の宿屋建築です。
館内では芭蕉ゆかりのお宝も数々ありますが、建築的にも見るべきものがいろいろありました!

 
山中温泉では昭和六年(1931)に大火事があり、温泉街のほとんどの建物が燃えてしまいました。
そんな中、この建物も目の前まで火が迫っていましたが、窓に鉄の扉が付いていた耐火構造だったことで、類焼を免れて、今も当時の姿を残しています。
館内は床も天井の柱も漆塗りで、昔の建物とは思えないほど綺麗です。
漆は水に強く、傷もつきにくくなり、塗り直せば輝きを取り戻すことができます。
日本の物を大切にする心を感じますね。
上記写真提供:芭蕉の館

建物は、中庭に面して廊下があり、どの部屋からも障子を開ければ綺麗な中庭が眺められる造りになっています。この造りは明治時代の旅館の特徴だそうです。

現在、宿泊はできませんが、館内の一階にはカフェスペースがあり、目の前の庭園を眺めながらゆっくり過ごすことができます。

 

基本情報

芭蕉の館

[住所]石川県加賀市山中温泉本町二丁目ニ86-1

[電話番号]0761-78-1720

[入館料]300円(高校生以下、および障害者・介助者1名の方無料)

[休館日]水曜 

[駐車場]施設裏に有料駐車場(1時間200円)

芭蕉の館から1分ほど歩くと総湯(温泉共同浴場)の「菊の湯」があります。

「山中や菊はたをらぬ湯の匂ひ」
松尾芭蕉が山中温泉で詠んだ俳句から名前がつけられたそうです。

隣の山中座では菊の花びらが入った可愛いアイスキャンディーが販売されていました。
アイスを食べながら、足湯に浸かり、たくさん歩いた足を休めることができました!
ちなみに俳句の意味は、「山中温泉に入って湯の香りをかぐと、寿命が延びるようだ。あの長寿に効果があるという、菊の香りをかぐ必要など全くない」だそうです。
菊の香りに勝るとも劣らない、山中温泉の香りをかぎながら、菊の花びら入りで山中温泉のお湯を使っているアイスを食べれば最強ですね!

歩いて回れる!加賀温泉郷の建築探訪

今回は、加賀エリアで加賀温泉郷の建築探訪をしてきました!
紹介した場所は全て、歩いて回ることができます。

鶴仙渓遊歩道では、川のせせらぎを聞いたり、美しい苔を眺めながらのんびり歩くことができ、楽しいです。
建物は見るだけでなく、ゆっくり過ごすことのできるスペースもあり、実際に空間の魅力を体感することができました。
今度は旅館に泊まって、温泉に入りながら、リフレッシュしに来たいと思います!

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