おいしくてヘルシー♪能登で見つけたやさしい味
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※このブログは2022年3月時点の情報です
能登には、一度使うと病みつきになるという、魔法のような調味料があるのをご存知でしょうか?
富山湾に面した内浦地区でつくられる、真イカの内臓を使った「いしり」と、
日本海側の外浦地区でつくられる、イワシやサバを使った「いしる」。
どちらも、能登に伝わる伝統的な魚醤です。
奥能登に伝わる、旨味たっぷりの魔法の調味料(?!)「いしり(いしる)」
魚由来の旨味成分であるアミノ酸が多く含まれた「いしり」「いしる」は、旨味とコクが特徴。調理にほんの少し加えるだけで、料理が深~い味わいにランクアップします。
発酵食品ブームの今、「いしり」「いしる」が熱い! ということで、「いしり」生産の本場、能登町・小木港を訪ねました。
水産加工品の製造・販売を手がける「カネイシ」でつくられているのは、イカワタを使った「いしり」。
その歴史は長く、冷蔵庫がなかった時代、ふんだんに水揚げされる新鮮なイカをなんとか保存しようという知恵が、「いしり」作りの技術を発達させたといいます。
イカワタと塩をよく合わせ、何度か攪拌しながら、長期熟成。じっくりと時間と手間をかけることで、イカの風味がしみこんだ風味豊かな「いしり」が完成します。
「カネイシ」のおすすめレシピをもとに、「いしり」を料理に使ってみました。卵かけごはんにちょっとだけ入れると、いつもの素朴な味に滋味深さが加わり、なんともいえない奥行きが。
イカと玉ねぎのパスタには、「いしり」が絶妙にマッチ。おいしさをぐっと底上げ♪
このほかにも、エスニック風炒飯や、リゾットやグラタンなどの隠し味にも使えて、バリエーションは無限大。
魚醤ゆえ、独特のクセがあるのかな? と思いきや、隠し味にほんの少~し使えばいいので、まったく気になりません。
原料はイカワタと塩のみと、シンプルすぎるぐらいシンプル。さらに、グルテンフリーなので、小麦アレルギーでも安心して使えます。
「いしり」ビギナーには、3種類の柑橘と本醸造醤油、 鰹と昆布ダシを贅沢に使った「いしりポン酢」もおすすめ。
能登を旅していると、飲食店のメニューで時おり見かける「いしり」や「いしる」。ぜひ一度、お試しあれ!
基本情報
料理はおいしく、体にはやさしく。ヘルシーな「米飴」
能登の体にやさしい調味料は、まだまだあります。
能登町・松波に伝わるのが、「米飴」。その名のとおり、大麦とうるち米を煮詰めてつくる甘味料です。
その歴史は古く、古文書によると、ルーツは戦国時代(!)にまでさかのぼるのだそう。以来、松波に根付き、戦前までは、各家庭で作られる“おふくろの味”だったといいます。
今、その味を守るのが、「横井商店」。歴史を感じさせる木の看板が目印の、アットホームなお店です。
「米飴」の材料は、大麦とうるち米の2つだけ。大麦の麦芽を粉にし、蒸したうるち米に加え、一晩寝かせて醗酵、これを5時間じっくり煮詰めて完成します。添加物は使用しない、天然の甘味料です。
材料や作業工程こそシンプルですが、手間暇は膨大。そして、煮詰め加減を見計らうのは、長年の勘が頼り。
「米飴はビタミンやミネラルが豊富で消化吸収がよく、昔から離乳食や養生食としても使われていたそうです」と、4代目の横井千四吉さん。
料理に重宝するのは、はちみつのようにトロトロして水飴のようなタイプ(じろ飴)。
「米飴」は白砂糖よりもゆっくりと体に吸収されるため、甘いからといって体に負担もかけません。体にやさしいうえに元気になれるなんて、使ってみたくなります!
「白砂糖ほど甘くはありませんが、煮詰めたときに食材の旨味を包み込むので、料理がおいしくなりますよ」と、横井さんが教えてくださいました。
「横井商店」でいただいたレシピには、卵焼きやプリン、アイスクリーム、照り焼きチキンなどが紹介されています。慣れない米飴は使うのが難しそうだな~と思っていたのですが、意外や意外、料理に大活躍。
魚の煮付けに飴を少し入れればきれいな照りがつき、ジャムやお菓子に使えば、優しくスッキリとした甘さに仕上がります。
商品は定番のほか、「能登ワイン」とコラボしたキャンディ「能登ワイン米飴」などもあって、友達へのお土産にしたくなります。
能登にずっと伝わる、体にやさしくておいしい調味料。旅を終えた後も、キッチンの定番になるかもしれませんね。
基本情報
能登の豊かな恵みをジェラートで満喫!
能登の海や大地がもたらす豊かな恵みは、スイーツで味わうこともできます。訪ねたのは、能登町の「マルガージェラート能登本店」。
田園に囲まれた中にぽつんと立つ景観は、なんとものどか。
でも、ここは世界最高のジェラード店なのです! 2021年に、イタリア政府公認の「国際パティスリー・アイスクリーム・チョコレート連盟」から「世界最高のジェラートショップ」に選ばれています。
代表の柴野大造さんは、能登に生まれ育ち、今は能登から世界に向けて発信するジェラートマエストロ。2017年にイタリアで開かれた世界最大級の「シャーベット・フェスティバル」で優勝するほか、数々の賞を受賞しています。
そんな凄腕のジェラート職人のお店ながら、牧歌的な風景にしっくりと馴染む、素朴な佇まいがステキです♪
ジェラートのベースとなるミルクは、無農薬の牧草で育ったホルシュタイン乳牛のしぼりたて生乳100%。フレーバーの原材料は、無添加・無農薬の野菜など地元の食材を駆使しています。
フレーバーが日替わりなのは、新鮮で旬の食材を使っているから。
定番は、「プレミアムミルク」や「珠洲産 大納言あずき」、「珠洲産 能登の塩」。ほかにも、穴水産のふきのとうや、赤崎産のいちご、夏野菜など、珍しいフレーバーがたくさん!
間違いなく、「どのフレーバーも魅力的で決められないよ~」となりますが、おまけで好きな一口サイズのジェラートを付けてもらえます。つまり、シングルでも2種類が味わえるということ。これも能登人のおおらかさ!
この日は、迷いに迷って、2014年のイタリアジェラート世界大会の入賞作「グランピスタチオ」と、日本ジェラートマエストロの優勝作「マスカルポーネとオレンジバニラ」をチョイス。おまけには、「能登の塩」をつけてもらいました。
感じる粒感と、ローストしたピスタチオの香ばしさ。
濃厚なミルクからたちのぼるオレンジのみずみずしい香り。
しっかりとした塩気と濃厚なミルク感の、絶妙なバランス。
……肌寒い日だったにも関わらず、あっという間にたいらげてしまいました。
ジェラートは、コーンタイプとカップタイプがあり。シングル(350円)とダブル(470円)からサイズを選びます(受賞作メニューは、基本料金のプラス100円)。
地元の食材を使うというだけでなく、食材の持つ栄養や配合の黄金比率まで考えて生まれる独自のフレーバーはみごと。能登の食の豊かさと、能登人の探求心を満喫できる絶品スイーツでした♪
基本情報
能登町に来たなら立ち寄りたい!天井画がみごとな福正寺
能登町に来たのなら、ぜひ立ち寄りたいのが、「浄土真宗東本願寺派福正寺」。
かつてこの地域で盛んに生産されていた合鹿椀(ごうろくわん)の職人たちの懇願により、1494(明応3)年に建てられたと伝わる古刹です。ちなみに、合鹿椀は伝承がないことから、「幻の椀」とも言われています。
本堂に入り、目を奪われるのは、色彩豊かな190枚の天井画。ミズバショウやササユリ、ケヤキなどの木々、ツバメや鳳凰などがイキイキと描かれていて、ただただうっとり……。
これは、創建以来約500年ぶりに天井の張り替えをした際、500年後に文化財となることを願って製作されたもの。能登町出身の洋画家・西房浩二さんが協力し、門徒さんや有縁の方達が制作に携わったのだそう。
創建500年の古刹ながら、新しい風が吹いているんだな~と思うと、とたんに親しみがわいてきます。
展示室も必見。貴重な古い合鹿椀や現代作家の作品が展示されていて、解説とともに鑑賞することができます。
沈金や蒔絵を施した華やかな輪島塗とはまた異なる、素朴さと力強さが、能登人の応時の生活を髣髴とさせます。
調査研究が進んでいるとはいえ、まだまだ歴史には謎が多い合鹿椀。その他にも、貴重な歴史あるお寺のしつらえや充実した展示に、好奇心が刺激されるはずです!