大本山總持寺祖院の見所を紹介! 駐車場・アクセス方法も解説
令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市。總持寺祖院も例外ではなく、平成19年の能登半島地震に続き、再び甚大な被害を受けました。しかし、震災から5ヶ月半が経った6月15日より限定的ながら一部拝観を再開するなど、被災地の復興・再生の第一歩となるよう、總持寺祖院は再び動き出しています。
こうした中、先々月(10月)には、国の文化審議会が總持寺祖院建造物16棟を国の重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申したという、復興の後押しとなる朗報もありました。今回はそんな總持寺祖院の見どころや周辺の状況をご紹介します。
門前町のおいしいおそば情報もあります。ぜひ、実際に訪れて、復興状況を含めて観光してみてください。
大本山總持寺祖院とは?
1321年に開創された曹洞宗 大本山總持寺祖院。明治31年の火災により、布教伝道の中心を横浜に移しましたが、いまでも大本山としての面影をしのばせています。曹洞宗は禅宗の宗派のひとつで、「坐禅」による修行を重んじています。
基本情報
国道の2箇所からアクセス可能
国道249号線からすこし入った場所にある大本山總持寺祖院。基本的なアクセスは車が便利。のと里山海道穴水I.C.から約25分、のと里山空港から約30分。金沢(南西)方面から、そして輪島市街地やのと里山空港(北東)方面からと、どちらからきても国道沿いに同じ大きな案内看板がでているのでわかりやすいです。国道からはどちらから入っても3分程度。
のと鉄道 穴水駅からはバスで35分程度です。
駐車場情報
駐車場は總持寺通り商店街の一番端にある(總持寺祖院と反対側)「禅の里広場」に併設されている輪島市営駐車場が便利。徒歩5分ほどかかります。
トイレ情報
トイレ(東司)は山門手前を右手に行くとあります。
拝観できる区域は?
能登半島地震にて、總持寺祖院も例外なく大きな被害を受けました。それでも前を向いて行こうと2024年6月15日から一部拝観を再開。境内を1周できる「回廊」にはまだ入れませんが、大祖堂や僧堂、山門、仏殿、経蔵などを外から拝観することができます。
また、ところどころブルーシートで覆われてはいるものも、寺を囲う山々、庭のモミジやイチョウなど自然は変わらず美しく心を癒やしてくれます。
「炊き出しやボランティアで来てくださる方に、せっかく輪島に来たならお参りしていってほしいと思って、限定的だとしても拝観を再開しました」と話すのは副監院の高島弘成さん。
山門
総檜の二層造りで、高さ17.5メートル。
大祖堂(法堂)
山門をくぐると、正面に大きな大祖堂。総檜、入母屋(いりもや)造りの大伽藍です。入母屋(いりもや)とは屋根の形状で、2面屋根の「切妻屋根」と、4面屋根の「寄棟屋根」の形状が組み合わされ、先が広がるデザイン。
仏殿
仏殿は入口まで入れます。入るとすぐに山岡鉄舟の書「襖四枚」があります。右から、
鉄樹
枝を抽(ぬき)んじ
石樹
花を開く
とあります。
勝海舟(幕府)と西郷隆盛(新政府)の双方から一目おかれた江戸城無血開城の立役者で、明治天皇も信頼を寄せていた山岡鉄舟。剣・禅・書、すべての達人であった鉄舟居士の言葉は奥が深いです。
僧堂
修行僧が坐禅や食事、就寝などを行う僧堂。本来は坐禅体験も行っていますが、現在は休止中。
経蔵
こけら葺き二層造り。一切経(仏教の経典)が収められています。
国の重要文化財に指定!
2024年10月には「曹洞宗大本山の跡地に建つ別院伽藍の雄壮な堂舎群(近代/宗教)」として、16棟の建造物が国の重要文化財指定に向け答申されました。これによって、復興のシンボルとしてあと押しを得ました。どれも修復が終わっていない建造物ばかりですが、今後10年単位の復興が為されていく段階で、これまでとは違う拝観のかたちになるかもしれません。
「復興過程も見てほしい」と話す高島副監院。目を背けたくなる現状ですが、そこに立ち上がっている人がいるのであれば、自分の目で見て考えたい。
このエリアは門前町をふくめ、お寺を中心としたまちづくりが基本です。これまで以上に「ともに」取り組んでいくことになります。その意味でも象徴となってくれそうです。
總持寺通り商店街へ行こう
ということで、参拝後は、門前町である「總持寺通り商店街」に立ち寄ってみましょう。
能登半島地震以降、通常営業に戻っている店舗はまだ少ないですが、少しずつ動き始めています。
まずは仮設商店街へ。マルシェなどのイベントも開催しているので合わせて足を運んでみてください。
参拝後は門前町に立ち寄っておそばを
そんななかで2月から少しずつ営業を再開していた「能登手仕事屋」へ。
二八のもりそばはしっかりとこしがあり、食べ応え十分。つゆは田舎風にちょっと甘めの味付けです。
トビウオの季節になると、漁師から直接たくさんのトビウオを仕入れて、それを自ら干して焼いて、自家製焼きアゴ出汁をつくっているそうです。
天ぷらはエビが2尾、野菜4種が基本。春になると自分で山に入って山菜などをとることもあるとか。地物野菜が観光客にも新鮮でうれしいです。
うつわは輪島塗の作家さんにつくってもらっています。オーソドックスな輪島塗とは趣きが少し異なる、作家性を感じるうつわでいただきます。
「発災直後からいろいろな思いがありましたが、“開けられるのなら開けたほうがいい”という周囲の声もありお店を開けています。自分が得意なことをとにかく続けていきたいと思っています」と店主の星野恵介さん。
足元をかためて、できることをやる。着実に進んできたそば屋さんの1杯でした。
まとめ
總持寺祖院が拝観を再開した、だから行ってみよう。
実際に訪れてみて、そんな単純な話ではないような気がしました。考え過ぎる必要はありませんが、大きな自然災害はいつでもどこでも起こり得るということ。
高島副監院は「災害と観光は関係ない、という考えでは長続きしないと思います」と言います。“この地でこの寺院が被災した”という事実も織り込んだ新しい観光のかたちが生まれるかもしれません。
各建造物を順に巡る「回廊」はまだ通れませんが、外からみるだけでも、建造物の重厚さ、設えの繊細さ、庭園の美しさなど十分に感じられます。ただし境内には、まだ赤いコーンやブルーシートがあちこちにあります。その両面あるのが、嘘偽りのない「いまの總持寺祖院」の姿であり、それでも拝観を再開している意義を感じ取りたいと思いました。そんな気持ちも感じ取りながら、ぜひ観光に行ってみてください。