石川県観光公式サイト

霊峰白山を望む柴山潟湖畔の、風情ある片山津温泉。歴史を感じさせる温泉街の風情は、どこか懐かしい雰囲気を漂わせます。そんな片山津温泉周辺のパン屋さんをご紹介します。温泉街の散策の際に立ち寄って、焼きたてパンの香りに包まれてみて！

片山津温泉の中心部、総湯の目の前にあるステキなパン屋「ヒラクベーカリー」さん。2024年8月でオープンから7年になる、地元でも有名店です。白と木を基調としたカジュアルな雰囲気通りの、姉妹でこだわりのパン作りをしているパン屋さんです。

片山津温泉総湯の目の前という立地から、地元の方だけでなく、温泉に来られた観光客など、幅広いお客さんが絶え間なく訪れます。

パンは常時30種類ほど。曜日や季節によって前後するそうですが、時には地元の食材を使ったパンも並びます。選んでいる間にも、次々と焼き立てが並べられていき、その香りとビジュアルに目移りが止まりません。

さらに、地元のフルーツを使ったフルーツサンドもおすすめとのこと。季節になれば、地元加賀市で収穫されたシャインマスカットや梨なども登場するそうです。

パン ド ロデヴ ショコラナッツ

通常より水を多く入れる高加水パン「ロデヴ」に、チョコレートとマカダミアナッツがゴロゴロ入っていて、具の存在感が半端ない逸品。

外側はカリッとしていながら、中はモッチモチ。軽くトーストして食べると、香ばしくて最高です。

あんバターフランス

中には、能登大納言小豆を使ったつぶあんがたっぷり！一緒に包まれているのは、バターではなく、ふんわりとしたバタークリームです。

軽くトーストすると、パリッとした皮に、中は空気を含んだふんわりとしたパン生地。つぶあんとバタークリームの溶ける食感が秀逸でした。

パン オ フリュイ

ドライイチジク、オレンジピール、クランベリー、レーズン、くるみ…と、ドライフルーツがたっぷり入った長時間発酵パン。

噛みしめるほどに、次から次へといろんな食感と味が出てきて、食べごたえとともに食べ飽きないおいしさです。

ヒラクベーカリーさんで購入したパンはこちら！基本的にハード系のパン屋さんですが、あんパンやメロンパン、サンド系などバリエーションは豊かです。

クロックムッシュやウインナー、ポテトを使ったパンなども、ひとつひとつがしっかりと味つけされ、さらにボリュームもたっぷり。ひとつひとつ、「こだわりの強い職人が、パン生地から丁寧に作っているんです」との言葉通り、具材とベストマッチなパンが秀逸です。

季節のフルーツサンドはイチゴでした。こちらもクリームたっぷりでとても丁寧なつくり。この桜の季節には、「桜あんぱん」が登場していました。桜色の花びらの形をしたパンには、桜あんこと求肥が。季節感と遊び心が楽しいパンです。

片山津温泉の温泉街から少し外れたところにある、パンドーネさん。20年ほど前からパン作りを始め、営業しているそう。道路に面した敷地にお店を構えたのが13年前とのことで、こちらも地元に根付いたパン屋さんです。

広い駐車場に車を止め、店内に入ると、愛らしいコック風のおじさんと犬の置物が出迎えてくれます。

中に入ると、パンのいい香りとともに色とりどりのパンが目に入ります。ずらっとこちらを向いて行儀よく並ぶパンは、どれも雰囲気がかわいらしい。ふっくらと艶やかなビジュアルが、そう感じさせるのでしょうか。自然と笑みが生まれます。

長年地元にあるパン屋さんだけあって、ご近所の小さいお子さんもよく来られるそう。そんな小さなお客さんに向けても、「かわいらしい」を心がけて作っているそうです。その丁寧さが、どれをとっても形がそろっているパンに表れています。

そんな客層ということもあり、お子さまから年配の方まで誰もに喜んでもらえるように、やわらかく食べやすいパンが多いです。しかも、1つ1つボリュームがあるのに、どれも200円前後と買いやすい価格帯。

さて、こちらでも、お店のおすすめ3選を聞きました。

ハムエッグパン

ハムエッグを挟んだパン。ハムエッグを焼いて挟んでいるパンって、私は初めて出会いました。取り置きの依頼があるほど、お気に入りになっているお客様がいらっしゃるとのこと。想像できる味だと思ったら、なんとそれ以上においしかったです。ハムのちょうどよい塩気に、ピリッと効いた胡椒が、少し甘めのパンによく合います。

メロンパン

不動の人気、メロンパン。何度も言いますが、見た目がかわいい。ハリネズミのようでもあり、オシャレなドームテントのようでもあります。ふわふわな生地に、どこか懐かしい甘さと味わい。みんな大好きなメロンパンだとお見受けしました。

片山津バーガー

片山津に来たら、片山津にしかないパンを食べてみたい！地名が付いたパンの所以は、中に入った「温泉たまご」でした。オニオンリングにすっぽり収まって、具材と半熟の玉子がトロリと絡んで、うまい！の一言に尽きる一品。商品企画力にも、ブラボーです。

迷いに迷って、厳選購入したパンたち。おすすめ3選に加え、ちぎりパンも。たくさんのニコニコ笑顔に見つめられて、手に取らずにいられませんでした。

せっかくなので、定番の食パンもチョイス。

とてもきめが細かくフワッフワの食感です。このままちぎって食べても、ほんのり甘さを感じるやさしい味わいでした。あえて厚切りにしてもらい、軽くトーストしてみるとまた違った食感に。

きなこパン

揚げパンにきなこをまぶした、どこか懐かしいシンプルなパン。揚げパンときなこの組み合わせなんて、最高しかありません。

私が選んだイチオシパン。かわいいしかない「ちぎりパン」と、コロッケパン。顔がついているのもステキだし、コロッケを双子にしたのもステキ。これは、きっとシェアして食べられるやさしさですね！

スタッフのみなさまもみんなニコニコして対応していただき、文字通り「みんなが笑顔になれる」パン屋さんでした！

加賀温泉郷の一つ、山代温泉は、開湯1300年の歴史を誇る温泉街です。ゆのまち風情を楽しむ傍ら、地元ならではのパン屋さんに立ち寄ってみてはいかがでしょう？

山代温泉の中心部にあるルイドールさん。1949年創業で、なんと75年もの歴史があるそう。加賀市では知らない人がいないほどの、老舗パン屋さんです。老舗だけあって、地元のお客様に親しまれ、世代を超えて利用される方も多いとか。場所柄、温泉の宿泊客なども利用されるそうです。その言葉通り、取材中も絶えず幅広い年齢のお客さんが来店されていました。

お店に入ってまず驚くのが、そのパンの種類の多さ。季節や曜日によって変動はあるものの、全部で150種類ほどあるそうです。写真にも収まりきらないほどのパンに、すでにワクワクが止まりません。

お店のイチオシパンを聞きましたが、10年勤めるベテランさんでも、絞り切れないほどの種類の多さ。人気のパンを尋ねても、お客さんそれぞれに好きなパンがあって、創業時からの「すべてのお客様の好きなパンが見つかるように、選ぶ楽しさを提供したい」という想いそのものでした。

取材中、聞こえてきたお客様とのこんなやりとり。
「いつもの、ちょうだい」
「はい、いつものですね。今ご用意します！」
こういう会話がたくさん日常にあるんだろうな、とほっこりしました。

さて、お待ちかねのおすすめパンの紹介です。お店のスタッフに厳選してもらおうとお伺いしましたが、「お客様がそれぞれ、お好きなパンを買っていただければ、それがすべておすすめです」というステキなコメントをいただきましたので、ライターの独断と偏見で、本能の赴くままにチョイスしました。今回購入したのは全部で9種類。150種類からは、到底絞りきれませんでした…

チーズフランスDX

ファンが多いものの一つは、「チーズフランスDX（デラックス）」だそうです。フランスパン生地に、角切りのチーズがゴロゴロ。デラックスという名のとおり、手のひらでやっとつかめるくらい大きいパンです。軽く焼いて食べると、ソフトな歯触りのフランスパンと、ゴロッとしたチーズの食べごたえがたまりませんでした。

マスクメロンぱん・夕張メロンぱん

メロンパンは、オーソドックスなメロンパンに加えて、赤肉、青肉のそれぞれのメロンクリームを挟んだメロンパンの、合わせて3種類ありました。甘くておいしくて、おやつにピッタリのメロンパンでした。食べ比べもおすすめです。

チーズメンチカツバーガー

ルイドールさんは、おかず系のパンも充実しています。この日は、バーガー系だけで7種類ありました。どれもおいしそうで、フランク、チーズ、ポテト、ピザ系など、店内を何周したことか。迷った末に、チーズメンチカツバーガーを購入しました。間違いない、みんな大好きな味な上に、かなりのボリュームでおなかいっぱいになりました。

MIXベリーデニッシュ

そして、見ているだけでも幸せになれるスイーツ系。ベリー好きの私は、MIXベリーデニッシュをチョイス。こちらもボリュームがありましたが、おいしく完食。別腹とは恐ろしいものです。ほかには、モンブランやクリームチーズ、柑橘系のデニッシュもたくさんありました。

圧巻の150種類のパンをそろえる広い店内で、パン選びに迷うのも楽しい体験になった老舗パン屋さんでした！

山代温泉の中心部にほど近い、住宅街の中に店を構えるテライベーカリーさん。創業は1970年、初代のお父様がパン屋を始めてから、地元では馴染みのパン屋さんです。現在も、2代目の寺井さんがご家族で運営されています。

素朴でなつかしい、安心感しかないパンの数々。子供たちにも安心して食べてもらえる、作り手の実直な想いが伝わってきます。

さて、お店からのおすすめ3選はこちら！お客さんに人気のあるパンをランキングにしていただきました。
No.1　メロンパン
No.2　コーヒークリーム
No.3　チーズパン 

見た目が特徴的なコーヒーサンド。私もお店に入るなり、一番気になったパンです。中には、コーヒークリームが入っていました。コーヒー風味のパン生地とクリームの甘さ、量のバランスが本当によく、見た目の印象以上に、そのおいしさが支持される理由だとわかりました。　

クランベリーナッツ・ショコラブレッド

昔ながらのベーシックなパン以外にも、ハード系に寄ったパンもありました。家族経営ながらも、全員で意見を出し合い、トレンドも少しずつ取り入れているそうです。

ハード系と言いつつ、やさしいソフトな歯ざわり。「小さい子から大人まで、家族みんなで食べられるようやわらかい食感を心がけている」という寺井さんのポリシーを体現しています。軽くトーストしても、ちょうどよい歯ざわり。生地に入っているナッツやチョコの分量も、生地のおいしさをしっかり感じられるちょうどよいバランスでした。

パンの見た目はシンプルながら、ひとつひとつに丁寧な職人の技術が感じられ、毎日食卓にあっても飽きない、生活に溶け込むパンと見受けました。素直に、おいしかったです！

山代温泉、山中温泉、片山津温泉と並んで、北陸最古の歴史ある温泉のひとつ粟津温泉。白山開山の祖泰澄大師（たいちょうたいし）が開湯したといわれる、美しい自然に囲まれた静かな温泉街です。ここにも、若い店主が営む注目のパン屋さんがあります。

少し足をのばして、粟津温泉のステキなパン屋さんをご紹介。温泉街中心部の交差点の角地に、ひときわ目を引くオシャレな建物「ベーカリーウキグモ」さん。加賀市出身の店主が、この地に縁があったことで2021年にオープンしたそうです。

「空に浮かぶ雲のように皆さまの日常に自然と溶け込むパンを」というポリシーのウキグモさん。店主の話しぶりからも、切れ間なく来店するお客さんとのおしゃべりからも、商品だけでなくお店自体が地域に溶け込んでいる様子が感じられました。場所柄もあってか、地元のお客様だけでなく、週末などは金沢や福井など遠方から来られる方も多いとか。口コミでその存在が知られているのも、この存在感ならではです。

小さな白い戸を開けると、ちょっぴりレトロな床の店内にずらりと並ぶパンといい香り。「焼きたて」の文字が目に飛び込み、パンが生き生きとしています。

入るとまず目に入るのが、人気パンランキングのブラックボード。断トツの1位が「塩パン」だそうで、その言葉通り、パンが並ぶ一等地に塩パンの山が鎮座していました。これは洗礼を受けなければ先に進めません。130円という手ごろな価格も相まって、必須のアイテムです。

定番の食パンはもちろん、おかず系、スイーツ系などバランスのよいラインナップです。ズラリと並ぶ個性豊かなパンと「焼き立て」のポップに、目移りしかありません。全部食べてみたい衝動を抑えつつ、いくつかパンを購入しました。

塩パン

塩パンは、ほんのり塩を感じる生地に、中に潜むバターの香りと塩味。軽く焼くと、パリッと張りのある皮にふんわりとした中の生地に、口に運ぶ手が止まりません。おかず系にもスイーツ系にも合う、主張しすぎないけど何度も噛みしめたくなるパンで、リピーターが多いのも納得しました。

食パン

食パンは、サクッともちもちな食感。小麦の風味がしっかりと感じられ、バターをのせて焼くと理想通りの朝食ができあがりました。これは、この食パンのために毎朝起きるのが楽しみになると確信しました。

あんバターサンド

ずっしり重みのあるあんこ。多いと感じるかもしれませんが、甘さは控えめでバターとのバランスもバッチリ。あんこが主役と思いきや、フカッとしたパン生地も味わい深いパンでした。

たくさんの中から厳選した結果のパンたち。おかず系、スイーツ系に加えて、ハード系、ソフト系のバランスもよく、順番に食べるのが楽しくなるラインナップでした。かといって、奇をてらったものはなく、誰もが好きなパンであるように思えます。まさに、生活に自然と溶け込むようなパン屋さんであり続けるのだろうと、店主の顔を思い浮かべながら味わいました。

決して妥協しない信念と、どこかふんわりとした柔らかい雰囲気の店主。切れ間なく来店するお客さんが、言葉を交わし笑顔になっていくのが印象的でした。

人気店だけあって、早いときでお昼頃にはかなり売れてしまうとのこと。訪問するなら、午前中がおすすめです。

今回ご紹介した5つのパン屋さん。すべてに共通するのは、地域のみなさんに支持され、日々の暮らしの中に寄り添っていること。奇をてらわず自然体で、でも確実なおいしさでお客さんと対話する、そんな姿でした。

どこも、昔から地元のお客さんに利用され続けているだけあって、日常的にも買いやすい価格帯とラインナップで安心して利用できます。

同じポリシーを持ちつつも、それぞれのパン屋さんのパンは、どれもこだわりや個性を感じるものばかりでした。近くにお越しの際には、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。