能登半島でアートイベント開催!黒島・福浦アートプロジェクトについてご紹介♪

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今年の秋は、珠洲市の「奥能登国際芸術祭(9月23日~11月12日)」や、石川県全域で「いしかわ百万石文化祭」の関連イベントが開催されるなど、能登半島は文化と芸術のイベントが目白押しです。

今回はその中でも、輪島市・黒島地区と志賀町・福浦地区で開催中の、「黒島・福浦アートプロジェクト」をご紹介します。

能登半島でアートイベント開催!黒島・福浦アートプロジェクトについてご紹介♪

黒島・福浦アートプロジェクトとは?

△輪島市・黒島地区の街並み
△志賀町・福浦港

黒島・福浦アートプロジェクトは、かつて北前船で栄えた能登半島の2つのエリアで取り組んでいるプロジェクトの総称です。北前船の船主集落として発展した黒島と、「風待ち港」として数多くの北前船を迎え入れた福浦には、目の前に広がる日本海と結びついた独自の文化や暮らし、そして美意識が今なお残されています。

このような文化を、6名のアーティストが土地・地域住民との交流を通じて独自の視点で捉え直し、作品として発信することで、地域・アーティスト・ 鑑賞者の文化交流の機会を創出し、地域の魅力の伝達・継承へとつなげます。

イベントの概要は?

「黒島・福浦アートプロジェクト-北前船がつなぐ文化交流-」の主な概要は以下のとおりです。

期 間:2023年10月14日(土)~11月12日(日)
時 間:10:00~16:00(受付は15:30まで)
休 業:月・火曜日
入場料:無料
参加アーティスト:四方謙一、田村久美子、長瀬光恵、廣瀬絵美、松田重仁、松本一哉

まずは受付をしよう

黒島・福浦アートプロジェクトの作品は、黒島・福浦に点在しています。

各作品を見る前に、まずは受付をしましょう。
受付は黒島・福浦それぞれにあり、各作品へのアクセス方法が分かるマップを配布しています。

<黒島>
受 付:かぞく會館(石川県輪島市門前町黒島町ロ74番地1)
駐車場:天領黒島駐車場(30台)

<福浦>
受 付:旧すみれ旅館(石川県羽咋郡志賀町福浦港メ23)
駐車場:旧福浦灯台観光駐車場(10台)
 
ここからは、黒島・福浦のエリアごとに、作品をご紹介します。

【黒島①】黒島のありのままを捉えた写真作品<黒島 some encounters>

受付となるかぞく會館に隣接している蔵の中では、黒島在住のアーティスト・長瀬光恵さんの作品が展示されています。長瀬さんは、海外や関西での生活を経て、2021年から黒島に移り住んでいます。

長瀬さんが撮り溜めた写真の中から、「encounter(邂逅)」をテーマに黒島の地で見つけた風景やものが展示されています。

日常のなかで染み付いた先入観や価値観を取り去って撮影を試みる「Miksang(ミクサン)」という瞑想的な技法で写真を撮影し、見慣れた物事を新鮮さをもって向き合い、ありのままを捉えています。
黒島地区内を散策し、写真と同じスポットを探してみたくなるような作品です。

長瀬 光恵

兵庫県生まれ、黒島在住。「Miksang(ミクサン)」という瞑想的な写真技法で世界のありのままを捉えようとする写真家。「Kyoto Journal」をはじめ国内外の雑誌や書籍に多数寄稿している。

Photo: Eva Haeberle

【黒島②】文化の集積を表すガラス作品<一筋の。2023><波をみる 浜をみる>


国道沿いを北の方へ進むと展示会場の看板あり、蔵が見えてきます。そこで展示されているのは、ガラスを使った作品を手掛けるアーティスト・廣瀬絵美さんの作品です。廣瀬さんは、溶けたガラスを細く引き延ばして造形を作り出しています。


作品<一筋の。2023>は、蔵の2階の複数のガラスの線と、1階の1本の太いガラス線からなる作品です。

黒島は、北前船の交流もあり、様々な文化が集積した地であったという歴史からインスピレーションを受け、複数の文化(2階の複数のガラス線)が1つに集積する(1階の1本の太いガラス線)というイメージを作品にしたのだそう。

作品<波をみる 浜をみる>は、たくさんのコイル状のガラスからなり、黒島の海の波際が表されています。

2つの作品は、時間帯によって日の差し方が変わるため、時間の移り変わりを鑑賞者に感じてもらいたいのだとか。午後の時間帯は光がすっと入り、綺麗に見えるようです。

廣瀬 絵美

1990年富山県生まれ、現在富山在住。金沢卯辰山工芸工房修了。「記憶の回想」や「集積」をテーマに、細く引き伸ばした線上のガラスを使い、店舗装飾や空間演出など大型のインスタレーション作品の制作のほか、立体作品や日常作品も手がける。

【黒島③】地域の皆さんと作り上げた流木を使った作品<流木の海>

彫刻家である松田さんは、黒島の海に流れ着いた流木を用いて、地域の方々と交流しながら作り上げたオブジェを展示しています。

こちらは、9月1日に行われた地元の方とのオブジェ制作ワークショップの様子。
黒島の海に流れ着いた流木は、まっすぐなもの、曲がっているもの、先が2つに分かれているものなど…様々です。

いろいろな見た目の流木から吟味し、気に入ったものを選び…
何に見えるか、どんな形にしたいか、オブジェづくりについてだけでなく、黒島の歴史や文化についてもアーティストの松田さんとお話ししながら作っていました。

元々船乗りだったという方や、最近移住してきたというご家族など、計39名の黒島の方々と交流しながら25個の作品が完成しました。
恐竜や船など目に見えるものから、上へ上へと進んでいくような向上心を表している作品まで、作った人の個性が溢れています。
これは何だろう?と作り手が表そうとしたものを考えながら、楽しんで見ていただける作品です。

展示場所は、これまでご紹介した3つの作品展示場所や、旧角海家住宅前、黒島地区内の空き地などです。黒島の地区を散策しながら探してみてくださいね。

松田 重仁

1959年山形県生まれ、東京都在住。彫刻の宿命ともいえる重力から自由になること、生命の根源である水をテーマに、卓越した木彫技術による彫刻作品を作り続けてきた。「越後妻有アートトリエンナーレ2003」への参加、ファーレ立川でのパブリックアートの制作設置など国内外問わず精力的に活動を続けている。

【黒島④】黒島で録音したサウンドインスタレーション<今はもうない>


 旧嘉門家では、音楽家・松本一哉さんによるサウンドインスタレーションが展示されています。
松本さんは、自身が演奏した音だけでなく、その場の音にも意識を向けさせるようなパフォーマンス活動をしています。

本プロジェクトでは、2023年6月~10月の期間に黒島で録音した音を27分の作品にして展示しています。
黒島の波の音や、瓦の破片が落ちる音、北前船の船乗りだった住民の方が数十年前に航海中に持ち帰ってきたインコの鳴き声まで組み合わされています。

じっくり耳をすませて何の音か想像してみたり、その場で聞こえる風や木の音にも意識を向け、その瞬間限りの「黒島の音」を感じてみてくださいね。

松本 一哉

環境ごとにあるモノ・造形物・自然物・身体など、本来楽器ではないモノも用いて多様な音楽表現を行う。自身で起こす音と場所毎に偶然に起こる環境音とが渾然一体となるように働きかけていき、日常の聴き慣れた事象に新たな切り口を与え、音に没入さえる即興表現を追求している。

【福浦①】民家の障子をキャンバスに見立てた風景画<ウルトラマリンブルー~海を越えた青~>

かつて北前船の避難港だった福浦港沿いにある3軒の民家の障子を彩るのは、画家の田村久美子さんの作品です。

「昔は豊かだった」という地元の方のお話を聞き、過去の豊かさと港沿いの空き家の障子のボロボロさのギャップが印象的だったのだそう。街並み再生の手がかりとして障子をキャンバスに見立て、現在の福浦や近隣の社寺仏閣に奉納された船絵馬からインスピレーションを得た絵画を作成されました。
北前船の船主らが、無事に帰還することを祈って作った船絵馬に豊かに使われている青色を中心に描いています。

荒れた風貌の空き家が彩られ、地元の方にも喜んでいただけたのだそうです。
福浦港の風景に溶け込むこの作品を、ぜひお楽しみください。

田村 久美子

1979年長野県生まれ、現在東京在住。ロンドンで幅広くアートを学び、油絵・平面の可能性を広げながら、風景や自然に対し「どのように見るか」視点を変えることで魅せる表情の違いを追い求め作品制作を続けている。

Photo: ATZSHI HIRATZKA

【福浦②】福浦の地形を「みる」作品<Growing scenery | 成長する景色>

福浦港の湾岸沿いに建てられた構造物に展開されているのは、四方謙一さんの作品です。
福浦港は、深く入り込む湾と急峻な崖に沿って建築物が集まっており、この特殊な地形に着目したのだそう。自然が作り出した造形に人工物が建てられ、それもまた地盤へと変化していくという、人の暮らしとそれを取り巻く地形との不可分な関係性を提起する作品です。

ステンレスでできているこの作品は、角度や距離によって見え方が異なります。この場所の原型である自然と、それによってつくられてきた風景とを様々な角度から重ね合わせてみることで、この町の変化してきた風景を見つめてみてください。

四方 謙一

1983年京都生まれ。現在東京・千葉を拠点に活動する。早稲田大学芸術学校建築設計科卒業。幾何学や素材の特性によって構成されるパターンに周囲の環境を取り込み、主に彫刻やインスタレーション、写真作品などを制作している。

まとめ

この記事では、「黒島・福浦アートプロジェクト」の作品についてご紹介しました。
ぜひ訪れていただき、黒島・福浦の風景に癒されながら、作品鑑賞を楽しんでみてください。

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