国指定史跡や文化財を見学し、古代の歴史をより身近に|石川県金沢市

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ほっと石川旅ねっと体験ライターの沖﨑です。


今回は少し渋い(笑)コースですが、今生きている自分のルーツがどこかに隠れているかもしれない、そんなミステリーを感じる古代の歴史体験旅です。

さぁ縄文・弥生時代にタイムスリップ!

国指定史跡や文化財を見学し、古代の歴史をより身近に|石川県金沢市

キュートな土偶(どぐう)や埴輪(はにわ)に会いに行こう!

突然ですが『石川県埋蔵文化財センター』ってご存知ですか?
平成10年(1998)に開館した施設ですが、多分地元石川県民でも知っている人は少ないはず。「一般の人が入れる場所なの?」と思っている方も多いことでしょう。実は入館も古代体験も無料!と、いいことがいっぱいある場所なのです。
とくに、1983年から6年間放送された教育番組『おーい!はに丸』の世代なら、興味津々ではないでしょうか。

同センターは石川県金沢市の山あいにあり、自然に囲まれています。石川県の各遺跡から出土された土器や矢じり、装飾品など、その時代の暮らしや背景を知ることができ、古代ファン必見の施設です。小学生や中学生はバス遠足などでかなり訪れているらしいのですが、ご存知ない大人のために展示室や体験コーナー、屋外の古代住居などを紹介していきます!
まずは、センターの1階にある展示室で石川の古代のお勉強をしましょう。
県内の縄文時代や弥生時代、古墳時代の遺跡をはじめ、当時の暮らし、土器や道具などについて紹介しています。
館内には収蔵庫もあり、県内から出土した貴重な土器など、たくさんの出土品を保管しています。
古墳時代に粘土などを用いて作られた焼き物・埴輪。屋外には、センターで制作された埴輪と一緒に記念撮影ができるコーナーもありますよ!

体験無料!古代のアクセサリー、まが玉を作ってみた☆

次は、すぐ隣にある「まいぶん体験工房」に移動して、体験にチャレンジします。
いつでも体験できる定番の体験メニューはコロナ禍で制限されており、現在は5種類ほど。
今回は「まが玉づくり」と「縄文アクセサリー」にチャレンジすることにしました! 
埴輪好きの方には夏休み期間の「はにわづくり」や、体験教室の「土偶づくり」、「土器づくり」などもおすすめですよ。
石川県埋蔵文化財センターのホームページをチェックしてみてくださいね。
体験工房に入ると、机の上一面に大量の土器が並べられていました。
土器づくりの体験をされた人たちの制作物がちょうど焼き上がり、窯出しをしたのだとか。センター敷地内にある復元古窯の穴窯で焼成したそうです。
自然釉がかかりステキな色合いです。こんな土器をはじめ、愛らしい人物埴輪なども体験で作れるんですよ。しかも体験は無料。体験教室の日程が合えば作ってみたいなぁー。
 
私たちが体験した一つ目は「まが玉づくり」です。まが玉とは古代の装身具で、石川県各地の遺跡でも出土しています。祭祀にも使われたらしく、神秘的なイメージ。ヒスイやメノウ、水晶、琥珀、滑石などで作られていたそう。

体験は削りやすい滑石を使って行います。素材の石にまが玉のカタチを鉛筆で書き込み、そのカタチになるように表面が荒めの石にゴシゴシとこすりつけ、大まかに削ります。
石だけどやわらかい素材なので、おもしろいようにカタチが変わっていきます。
ある程度削れたら、今度は小さな砥石でへこんだカーブの部分など細かい部分を整え、麻布で磨きます。
できました!最後に麻紐を通して完成です。
どうでしょうか、いい感じに仕上がっていますよね。なんだか運気が上がりそうなパワーもありそう!? 体験の所要時間は40分程度です。
 
体験その2は「縄文アクセサリー」です。オレンジ色のクラフト粘土を使ってこねこね。並べてあるような見本の土偶なども作れるのですが、今回はブレスレットづくりに挑戦してみました。古代っぽい紋様をつけながら、気分は小学生時代に戻って工作の時間を楽しみます。
こちらもカタチを整えてから麻紐に通していきます。どこにもないオリジナルブレスレットの完成です!
やわらかなクラフト粘土はまだ乾いてないので、変形しないようにそっと持ち帰りました。乾いたら硬くなり、色も薄くなります。こちらの所要時間は約30分。

さぁ、次は屋外に出て古代の復元住居を見学します!

古代の復元住居で太古にタイムスリップ

屋外の古代体験ひろばには、石川県内で見つかった古代住居を3棟復元しています。
この竪穴式住居は、金沢市東市瀬遺跡で見つかったもので、約4000年前の縄文時代の建物跡を復元。柱などの配置から急勾配のかやぶき屋根の住居だと推測されたそうです。
縄文時代の建物内部。中央部には食物などを煮炊きしたり、暖房の役目もあった炉があります。ここが古代人の住み家なんですね。
こんな土の上でどんな風に寝起きし、毎日の生活をしていたんだろうか、何もない時代を想像もできない現代の豊かさ…。思わず色々考えてしまいました。
こちらは弥生時代の平地式住居の内部です。
金沢市戸水B遺跡で発掘された約2000年前の建物跡を復元。縄文時代から2000年ほども経ているのに、なんだかあまり変わってないような感じですが、こちらは建物の周囲に排水用の溝を造り、掘った土は建物内の周囲に土手のように盛り上げて水の侵入を防いでいます。
また、側面や屋根にも土を盛っていて、少し頑丈で寒さも防げたのかな?
昔の人の知恵や工夫が生きています。
復元建物3つめは、加賀市千﨑遺跡で発掘された約1300年前、奈良時代の住居跡です。壁は奈良の正倉院と同じ校倉風の板壁だそうですよ。
少し家らしくなってきましたね。

奈良時代の住居跡の内部。

柱や梁、板壁などには、当時も使用されていたという杉材を使っています。縄文や弥生の住居と違い、ご飯を炊くかまどがあり、跳ね上げの板窓など、ずいぶん家らしくなってきたな、というイメージでした。


屋外にはほかにも縄文時代のアワやヒエなど穀物の体験農園、土器を野焼きする野焼き広場などがあり、1日たっぷり学びながら遊ぶことができそうです。

基本情報

石川県埋蔵文化財センター

【住所】石川県金沢市中戸町18-1

【電話番号】076-229-4477

【定休日】無休(12月29日~1月3日と展示替え・整理の期間は休館)

【開館時間】9:00~17:00(入館は~16:30)

【駐車場】100台


《体験学習》 

【体験内容】まが玉づくり、縄文アクセサリーづくり、火おこしなど

【体験料金】無料

石川県埋蔵文化財センター

ミステリーゾーン、チカモリ遺跡公園の柱根

石川県埋蔵文化財センターから車で約35分、次は縄文時代晩期に営まれていた集落の跡を訪ねてみました。
なんと国の史跡にも指定されているという「チカモリ遺跡」です。
現在は街中の公園として整備され、だれでも気軽に無料で利用できる芝生公園です。

公園の中には発掘調査で見つかった環状木柱列などが復元されています。上の写真は地上60cmまで復元された4本の柱です。

公園には地上2mまで復元したという、不思議な木柱も立っています。

まるで迷路のように、またはミステリーサークルのように並ぶ木柱。大きなクリの木の丸太をタテ半分に割って円を描くように並べてあり、また重なるように立てている箇所もあるという不思議な環状木柱列です。

全国でも初めての発見とのこと。集会所だったのか、それとも神聖な場所であったのか、謎は解けていないそうで、想像ばかりが膨らみます。

皆さんは写真から何かを感じますか?

基本情報

チカモリ遺跡公園

【住所】石川県金沢市新保本5丁目地内

【電話番号】076-240-2371(金沢市埋蔵文化財収蔵庫)

【駐車場】隣接の金沢市埋蔵文化財収蔵庫に3台

チカモリ遺跡公園

太古のロマンを感じる本物の柱根を見学

チカモリ遺跡公園に隣接する『金沢市埋蔵文化財収蔵庫』には、チカモリ遺跡をはじめ金沢市内各地から発掘された出土品を収蔵。庫内では時代別に展示しています。
入館は無料で、庫内には管理人が常駐していますので、ひと声かけて見学してください。
1階の展示室には水を張ったコンクリートの水槽があり、ここにチカモリ遺跡から出土した約360点のうち78点の木柱根(もくちゅうこん)を展示。柱根はすべて、水の中で静かに眠っています。
空気に触れると乾燥で劣化して崩れやすいため、水中で保存しているのですって。

なんだか背中がゾクゾクしてきて、これって古代のパワーかしら?
これらの木柱根は石川県指定有形文化財です。
1階の水槽の両側の展示棚には、金沢市内の東市瀬遺跡、北塚遺跡、笠舞遺跡など、縄文時代の土器や道具、矢じり、まが玉などの遺物を展示しています。

2階展示室には、金沢市内の弥生時代から江戸時代にかけての各遺跡の石器や土器、須恵器、装飾品などが展示されています。

基本情報

金沢市埋蔵文化財収蔵庫

【住所】石川県金沢市新保本5-48

【電話番号】076-240-2371

【定休日】月曜(祝日の場合は翌平日休)

【開館時間】9:30~16:30

【料金】入館無料

【駐車場】3台

金沢市埋蔵文化財収蔵庫
いかがでしたか?
今、私たちが生きているのは、遠い遠い先祖たちが一生懸命生き抜いてきたからだと思うと、なんだか愛おしくなります。しかも、こんな愛らしい埴輪を作る人が居たなんて、古代LOVE!
 
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