【珠洲焼とは】復興への希望を紡ぐ~能登で歩む人々にインタビュー~(珠洲焼職人 折坂理恵さん)

令和6年能登半島地震の影響で、能登地域は大きな被害を受けましたが、被災地は、徐々に復興に向けて歩みを進めています。

能登で頑張っている方へのインタビューをしながら、能登復興を応援する企画の第1弾。

今回は、主に石川県珠洲市で作られている伝統的工芸品「珠洲焼」の職人である折坂理恵さんにお話しをお伺いしました。

【珠洲焼とは】復興への希望を紡ぐ~能登で歩む人々にインタビュー~(珠洲焼職人 折坂理恵さん)

珠洲焼とは

珠洲焼は、主に石川県の珠洲市で生産されている石川県の伝統的工芸品の一つで、黒い無釉(むゆう)のやきものです。

日本の他の産地では見られない深い黒の輝きや手仕事ならではのあたたかみが広く支持されています。

珠洲焼の歴史~消滅と復活の歴史~


珠洲焼は、平安時代末期から室町時代の後期にかけて珠洲市を中心に生産されていましたが、その後忽然と姿を消してしまいました。

その理由は不明で、今も謎に包まれているとのことです。

しかし、珠洲市の支援があり、昭和51年に復興されました。現在、市内18か所に窯元があります。(令和6年能登半島地震以前)

珠洲焼の特徴~使いこむほどに味わいが出る~


釉薬を使わず、高温で焼き上げるため、灰が自然釉の役割を果たすことが多く、幽玄ともいえる灰黒色の落ち着いた美しさが魅力です。
昔は、甕、壺、摺鉢などの日用品が多く焼かれていましたが、近年は、ビアカップ、コーヒーカップ、大皿、小皿、鉢、箸置きなど多様なものが作られています。

珠洲焼の表面の凸凹は、使いこむことにより角が取れて使いやすくなります。使うほどに落ちついた色つやとなり、自分だけの愛着ある逸品となります。

Column

珠洲市ってこんなところ

珠洲市は石川県能登半島の最先端に位置する、奥能登の里山里海に抱かれた自然豊かな市です。

金沢市からは車で約2時間半、人口密度は県内19市町の中でも2番目に低く、ゆっくりとした時間の流れが楽しめます。

市のシンボルである見附島は、度重なる地震で大きく崩れてしまいましたが、海岸沿いは引き続き美しい景観が望めます。

毎年夏には、市内各所で毎週のように開催される「キリコ」と呼ばれる山車を担ぐお祭りが毎週のように開催され、能登の人々にとって欠かせない行事の一つとなっています。



珠洲市ってこんなところ

珠洲焼職人 折坂理恵さんにインタビュー

  • 作陶中の折坂さん

折坂さんは、令和3年5月に、珠洲焼基礎研修課程を受講されるため、北海道から移住。

当時、石川県への旅行に来ていたことをきっかけに珠洲焼に出会い、珠洲焼職人の道を志すことになったそう。


2年間の研修終了後、珠洲市内で『珠洲陶房 折々』と屋号を設定し、少しずつ作陶の環境を整えていた時に、令和6年能登半島地震に見舞われました。

避難生活等を経て、今年7月には、珠洲市陶芸センターで作陶を再開。厳しい状況の中でも精力的に活動を続けられています。


「日々、その時々に寄り添うもの」をコンセプトとして、酒器や茶道具、生活雑貨を中心としたものづくりをされているとのことです。


Column

珠洲焼の町 珠洲市

珠洲焼はその名の通り、主に珠洲市で生産されています。

市内には、珠洲焼作陶技術の習得及び陶工の自立を支援する珠洲市陶芸センターや名品と研究調査が展示された珠洲焼資料館、多彩な作品を展示・販売している珠洲焼館などの施設が点在しています。


※令和6年9月時点で、珠洲市陶芸センターの陶芸体験は休止しています。

珠洲焼資料館と珠洲焼館は休館しています。





珠洲焼の町 珠洲市

石川県への旅行で、偶然珠洲焼に出会い、そこから移住して

珠洲焼職人を目指されたのですね。珠洲焼の魅力を教えてください。


珠洲焼職人 折坂さん
全国的にも黒い焼き物は珍しく、また黒といっても温かみのある黒で、素朴なところに惹かれました。
九谷焼や輪島塗はすでに人気ですよね。
一方で珠洲焼は、陶芸六古窯より前から存在しているにも関わらず、一時忽然と姿を消し、また50年ほど前に復活しました。そんな歴史も面白いですね。
珠洲焼を作ることができるようになって、珠洲焼を広めたい、住んで作り続けようと思うようになりました。
珠洲焼職人 折坂さん

Column

六古窯とは

日本六古窯は、古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く代表的な6つの窯(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)の総称です。
昭和23年頃、古陶磁研究家・小山冨士夫氏により命名され、平成29年「日本遺産」に認定されました。

大きな震災に見舞われましたが、精力的に活動を続けられているのですね。


珠洲焼職人 折坂さん
震災がありましたが、これからも作陶は継続していく予定です。
まずは、待っていただいている取引先への納品、工芸展への出品や、同期との展示会も来春に予定しています。
作陶に必要な環境整備を一から実施していきたいと思っています。
珠洲焼職人 折坂さん

折坂さんの作品を紹介いただいてもよろしいですか。


珠洲焼職人 折坂さん
はい。珠洲焼は古くは、甕や壺など比較的大きな作品が主に作られていましたが、私は、それだけでなく、箸置きや置物など日常に根差した作品も作っています。この猫とかもいっぱい並んでたらかわいいですよね。
珠洲焼職人 折坂さん

折坂さんの作品。手前の小物は、箸置きや置物など。


まさに折坂さんのコンセプト通り、「日々、その時々に寄り添うもの」 ですね。

若い方や陶芸をあまり知らない方も、興味を持つきっかけになりそうです。

最後に、みなさんにメッセージをお願いします。

珠洲焼職人 折坂さん
自分ひとりにできることは限られていますが、伝統工芸の珠洲焼を軸に、珠洲市の復旧・復興の小さな力のひとつになっていればと思います。
珠洲焼職人 折坂さん

珠洲市はいまだ復旧の途中です。

観光に関してはフルサービスで受け入れられる状況にはなっていません。

市内の状況をご理解いただいた上で、それぞれの方法で能登を想っていてくだされば幸いです。



※珠洲市内の多くの珠洲焼工房は被害にあっており、作陶を再開できていない方もいらっしゃいます。

現在は、オンライン販売をほとんど実施しておらず、またイベントへの出店や納品依頼にお答えできない場合がございます。

ただ、幸いにも多くの職人さんは、作陶をやめずに継続していくとのことです。

石川県の伝統的工芸品である珠洲焼の歴史を守り、紡いでいく方たちをぜひ温かく見守ってください。

Column

珠洲焼創炎会

珠洲焼創炎会では、陶工各々の技術の切磋琢磨と情報交換、後継者育成を睨んだ販路開拓や周知・商談の為の展示会への参加など多岐に渡る活動を行っています。

義援金等に関してはこちら 

珠洲市内の珠洲焼施設

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珠洲市内で今行ける観光施設

珠洲市内で今いける観光施設を紹介します。

なお、珠洲市はまだ震災から復旧・復興の途中です。

通常時と営業時間や状況が異なる場合がございます。

最新の営業状況や交通情報をご確認のうえ、住民へのご配慮をどうぞよろしくお願いいたします。

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